goo blog サービス終了のお知らせ 

水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

yesかnoか

2012年08月23日 | 日々のあれこれ

 今朝(8月23日)の朝日新聞のオピニオン欄に小田島隆さんが大きく載ってて、「すごくね?」って誰かに言おうとして相手がみつからなかった。小田島師匠がまさか大朝日にとりあげられるなんて。別におかしいことではないのかもしれないが、小田島氏の書かれる文章の内容と朝日新聞の論調とは、イメージとしてはかなりギャップがある。「朝日」向けにふだんより毒のうすいことを言っておられるのかなと心配したが、そうでもなくて安心した。
 「次の選挙では橋下徹さんに期待が集まりそうですね」とふられて、こう答える。

 ~ 自分の頭で考えることができない人は、橋下さんに丸投げしたいと考えられるのでしょうね。 ~

 きびしいな。きびしいけど、あたっている。
 自分もどこかに橋下さんにシンパシーを感じているのは、なんかよくわかんないけど、ガラガラポンとやってくれそうな気がするからだ。
 まちがっても自分の頭で考えた結果ではない。
 だって考える時間がない。講習の準備もしないといけないし、私学フェアーにでかけて個別相談しないといけないし、入試問題作成はじつは大変な仕事だし、楽譜の用意をしたり、譜読みをしたり、星野高校さんとの打ち合わせをしたり、打ち合わせをお願いしますという電話が斉藤先生からではなかったことに気づき泣きそうになったり、部費合宿費の未納分がまだあって整理できなかったり、人間ドックにいったり、体脂肪が12%だったので喜んでゲキ呑みしてしまったり、宮部みゆきの新刊が出てしまったり、半田屋さんでカツ丼(350円)を食べたら思いの他おいしかったり、車検の費用が予想以上にかかりそうでせつなくなったり、内田先生『街場の文体論』を二回目の読みに入ったり、学校のとじまりをしたり、娘の送迎をしたり。
 一般人はおおかれすくなかれ、自分の頭で考える時間には制約があるからこそ、世の中をどう動かすかについては、専門の人に委託するのだ。
 
 ~ しかし自民党は嫌だし、民主党はご覧の通りで、おそらく維新の会が勝つ、みたいな、間違いが起こるべくして起こるでしょう。… たぶん小泉チルドレンや小沢ガールズなんかより、はるかに劣悪なのがたくさん出てきて、国会は前代未聞の混乱に陥る。 ~

 「民間の優秀な人材が出てくることに期待してもいいのではないか」と聞かれ、こう答える。

 ~ そもそも私が民間企業に勤めていて、それなりの年齢で責任ある立場にいたら、政治家になろうなんて考えません。私の見るところ、権力欲だけあって内実の伴わない連中です。民間のダメなヤツは公務員のダメなヤツより、よっぽどダメですよ。 ~

 橋下徹氏を評価してないわけではないと言う。大阪市政にやっかいな問題があって、それをなんとかしようとする意識は間違ってない、ただ、手法に問題があると小田島先生は言う。

 ~ 大阪都構想や文楽の補助金問題。いづれも二者択一で答えが出るほど単純な問題ではないし、そもそも二択の質問に答える必要もない。… どっちでもない、決めないというのも答えとしては正しいんです。 ~

 消費税法案が通ったとき、決まった自体ことは一歩前進だという論調で、どの新聞も書いていた。
 大新聞は基本的に財務省とはお友達だからしょうがないけど、決まること自体が、決まった内容よりも必ず価値が高いとはたしかに思えない。
 そうか、だとしたら、橋下氏のAかBか、どっちかしかない、早く決めろ、決められないヤツは文句言うな、というやり方は、今の民主党と同じということか。マニュフェストとか今さら関係ない、とにかく決めることが大事なんだ、消費税が何に使われるかなんて今はしらないけど、あげることが第一優先なんだといっているのだから。
 実は、橋下氏や野田首相がこういう稚拙な政治手法をとる原因には思いあたるふしがある。
 あれなんじゃね? 小論文。(はあ?)
 弁護士になるために論文の試験勉強もかなりしたはずの橋下氏、松下政経塾でおそらく論文を書いたりした野田総理。
 「小論文には主張とその理由が明確に述べられなければならない」と習い、その方法で鍛錬した結果、思考形式がyesかnoかになっちゃったのではないだろうか。
 「小論文はyesかnoかを書く」という古典的かつ誤った考え方を身につけてしまったままなのかもしれない。人の世はyesかnoかじゃ決まらない部分もいっぱいあるんだよ、という考えをもつ、昔はたくさんいらした熟練の議員さんたちは少なくなってしまった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする