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僕の読書ノート「Casa BRUTUS 2023年12月号[奈良美智と家]」

2023-12-23 07:54:48 | 書評(アート・音楽)

 

しばらく前になるが、奈良美智の「Orange covered wagon」というインスタレーションの作品を見たことがある。移動店舗みたいな車の中を覗くと、女の子の部屋のような奈良美智ワールドが展開していて、日本のマニアックなポップ・ロックのカセットテープが流れている、なんともラブリーな作品だった。Casa BRUTUSが「奈良美智と家」を特集しているというので、ピンと来て購入した。

奈良さんが那須に作った、自宅とアトリエの様子がたくさん見れる。その様子は、本人の作品だけでなく、集まった美術品や好きな音楽のCDやレコード盤のジャケットなどに溢れていて、奈良さんの趣味と人生が整然と展示されている感じで、それ自体インスタレーションのようになっているのがすごい(逆に言うと、へんな生活臭がない、ほんとうのプライベートは謎)。オールド・ロック好きであることは知っていたが、とくに好きなのはパンク、中でもラモーンズであることがわかった。ラモーンズの暴力的でありながら、戯画的・ポップであることと奈良さんの作風はとてもよく似ている。

奈良さん自選100作品が、本人や編集部のコメントとともに掲載されている。それによると、ドイツ時代の1991年に「The girl with the knife in her hand」という作品によって、生涯を通底するような作風を手に入れたことがわかる。それについての本人のコメントは、「自分にしか描けない自分の絵を確信した一枚、これからは何の迷いもなく何枚でも描ける! と胸がドキドキしたのを思い出す。多作な時期となる自分の90年代が始まった。」

とにかく、奈良美智の作品が気になっている人には必見の一冊。



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