wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

ランドマークタワーのスカイガーデンに上る

2020-08-30 07:39:27 | 横浜

神奈川県民チケット半額キャンペーン(8月31日まで)をやっていたので、横浜ランドマークタワーの展望フロア「スカイガーデン」に上ってきました(2020年8月22日)。

 

スカイガーデンは横浜ランドマークタワー(70階建て、高さ296.33m)の69階、273mの高さにあります。東京タワーのメインデッキ150m、トップデッキ250mよりも高い位置にあります。そしてここに上がるエレベーターは、分速750mで日本最高速だそうです。横浜市民でないと退屈かもしれませんが、スカイガーデンからの眺望をご紹介します。

 

エレベーターのスピードは一定ではなく、加速して最大速度(分速750m)に達したらすぐ減速していきます。加速度がプラスとマイナスで一定なのかもしれません。撮影したときは、55階で、最大速度を過ぎて分速550mになった瞬間です。

 

まずは、SKY CAFEで購入した軽食で小腹を満たしてから景色を楽しみます。

 

まずが南西側から。野毛山、関内、日ノ出町といった小さいビルがもっとも多い方面。

 

右に伊勢山皇大神宮、左に成田山横浜別院が見えます。

 

北西の戸部、西横浜方面。東京ガス平沼整圧所のガスタンクが見えます。

 

北西のみなとみらい地区から横浜駅方面。企業の本社ビルなどの建築が増えている地域です。

 

北東の高層マンション群、パシフィコ横浜、臨港パーク。

 

東の大岡川河口、クイーンズタワー、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、よこはまコスモワールド。

 

東のコスモクロック21、横浜ワールドポーターズ、新港ふ頭、大さん橋、アパホテル&リゾート横浜ベイタワー。

 

「空中散歩マップ」では、床や壁に横浜の街が投影されます。

 

南東では高層ビルがまたたく間に増えています。左はザ・タワー横浜北仲、まん中は横浜アイランドタワー、右は横浜市役所。

ザ・タワー横浜北仲(58階建て、高さ199.95m)はマンションで、デザインがちょっと森ビル風です。これだけ大きいマンションだと、まん中のほうには窓なしの部屋も作れそうだなと、余計なことを考えてしまいます。2020年3月から入居を開始し、部屋はすでに完売だそうです。1LDKと2LDKが、6000万~8000万円くらいで売られていたようです。(最近見たサイトでは、2LDKで11,000万円で売られていました。転売で値が上がっているのでしょうか(9/10追記))

 

南のJR桜木町駅。右のビルはショッピングセンターのコレットマーレが入るヒューリックみなとみらい。

 

汽車道のあたりを水陸両用バス・スカイダックが走っています。

 

南の遠方には東京湾が見えます。秋になって空気が澄んでくれば千葉県のほうまで見えそうです。

 

「空の図書室」というのがあって、横浜と空をテーマに集められた約2,000冊の書籍を読むことができます。見ていくと、読んでみたい本がけっこうありました。

そんなわけで、おそらく25年ぶりくらいにスカイガーデンからの景色を楽しんだのでした。


僕の読書ノート「生物から見た世界(ヤーコプ・フォン・ユクスキュル、ゲオルク・クリサート)」

2020-08-28 21:24:24 | 書評(進化学とその展開)

私は、思索社から昭和48年に初版が出た本書の昭和59年改刷版を購入した(写真上)。学生だった35年くらい前のことである。おそらく、日高敏隆氏が何かの本で本書を薦めていたので買ったのだと思うが、内容が難解だったため28ページで読むのを断念している。そのページにシオリが挟まれているのである。現在は、岩波文庫から出ている(写真下)。ずっと持っていた思索社版を読み直したのだが、329ページあって大変だった。ユクスキュルによる「動物と人間の環境世界への散歩」(1934)と「意味の理論」(1940)、それから、アドルフ・ポルトマン、トゥーレ・フォン・ユクスキュルによる解説から構成されている。クリサートは「動物と人間の環境世界への散歩」で挿絵を描いている。岩波文庫のほうは166ページとコンパクトになっていて、こちらの分量でちょうどいいのではないだろうか。そして、本書の主題である「ウンヴェルト(Umwelt)」を思索社版では「環境世界」と訳しているのに対して、岩波文庫版では「環世界」という訳語にしている。現在では「環世界」のほうが通りがいいようだが、私は思索社版に合わせて「環境世界」と呼ぶことにする。

そもそも本書をしばらくぶりに読み直すことにした理由は、生物の種によって世界の見え方が違っているというユクスキュルの考え方を、人間の世界の見方にも拡張できないだろうかという思いつきだった。同じ人間でも個人によって物の捉え方が違っているということはもちろんあるし、自閉スペクトラム症者と定型発達者とでは世界の感じ方や反応の仕方が大きく異なっているということが言われている。はたして、本書の説を援用できるだろうか?

下記にポイントを抽出してみた。

・ユクスキュルは、動物は知覚道具と作業道具とそれをまとめる制御装置からなる機械であるという機械論には反対する。そこには知覚したり、作用したりする主体がないからだという。生命を有する主体がなければ、空間も時間も存在しえないとし、それはカントの学説と結びつくとしている。

・主体と客体の関係は機能環という図式で表される(下図)。客体のもつある性質は知覚標識の担い手になる。知覚標識を受容器(感覚器官)が受け取り、脳内の知覚器官が刺激を受けるのが知覚世界である。一方、脳内の作用器官は、外界に対する動物主体の応答を与える実行器(筋肉)の動きを制御するのが作用世界である。実行器は客体に対して作用標識を刻みつける。作用標識によって与えられた性質は、知覚標識の担い手である性質に対し、客体を通して必然的に影響を及ぼし、知覚標識そのものを変化させるように働きかける。この知覚世界と作用世界が共同で一つのまとまりのある統一体を作り上げたのが環世界である。この図式に従って、具体的な動物の環境世界、例えばダニが哺乳類に落下して血を吸う一連の流れなどが説明される。

・環境世界の空間として、作用空間、触覚空間、視覚空間、最遠平面が説明される。眼の筋肉運動による遠近の判断ができる距離の平面が最遠平面である。そこより遠くは、遠いか近いかの区別はなく、ただ大きいか小さいかの相違があるだけである。この距離は、ヒトの乳児では10 mであるが、成年では6~8 kmになる。われわれ一人一人はこのシャボン玉で取り囲まれているが、隣人たちとは何の摩擦もなしに接しあっている。

・時間は主体の生み出したものとしている。瞬間が継続することで時間は成立し、同じ時間区分内に体験する瞬間の数は、主体ごと、環世界ごとに異なっている。人間では、瞬間の長さは1秒の18分の1である。空気の振動も、皮膚に加えられる打撃も、1秒の18回以上になると区別ができなくなる。映写機が映す映像のコマは18分の1秒の間隔によって、連続的に映写される。

・対象物への行為によって作り上げる作用像と感覚器官によって与えられる知覚像は、緊密に融合され、対象物は新しい性質を付与され、我々はその対象物の意味を知ることができる。その意味を、作用のトーンと呼ぶ。

・人間が観察した結果、主体だけにしか見えないような現象の起こる環世界がある。これは、外的な刺激や体験とも関連付けられない。こうした環世界を魔術的環世界と呼んでいる。(これらは、遺伝的にプログラムされたものを言っていると思われる)

・筋肉を鐘に例えている。さらに、われわれはそれぞれ別の音を出す生きている鐘をたくさん所有していると仮定して、様々な刺激に応えて主体的な「私のトーン」で答えるグロッケンシュピール(小さな鐘を並べてならす合鐘)は旋律をならすという。

・意味というものは、すべての生物において第一に取り上げるべき問題である。植物も動物も、その器官の形態も素材の配置も、それ自身のもつ意味に負うところが大きい。(生物の発生の過程は、意味という概念で把握されるものだということだろう)

・「もちろん「意味」という概念の上に立てられた自然理解を全体的に把握するためには、詳細な研究が必要である。というのは「思考のトーン」をもっているはずの脳については、われわれは今なお多くのことができないからである」と述べ、思考や脳内のプロセスについては、まだ研究がすすんでないということで、扱いを棚上げにしている。

・人間についての言及は少ない。「私は必ずしも自然全体が生み出したものではなく、人間の本性が生み出したもので、それ以上のことは認識のらち外である」「われわれ人間が動物に優っている点は、生来もっている人間の本性の広がりを広げることができるというところにある....知覚道具も、作業道具も人間が作った。そしてそれを利用できる人間の一人一人に、その環境世界を深め広げる可能性を与えるのである。環境世界の範囲からはみ出すものは何一つない」という記述はある。人間は動物と違って、本性を広げ、道具を使って環境世界を広げることができる存在であるとしている。

・トゥーレ・フォン・ユクスキュルが、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルの環境世界理論を解説している。その締めの文章で、人間同士の理解について述べている。「他の人間を理解するためにまずわれわれは、自分の主体的世界がすべての人間にとっても同じであるという世界や意見を捨てなければならない。他の生物を理解しようとする努力の中から、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは、動物の環境世界の研究の科学的方法を発展させた。たしかに、それはすぐに人間相互の理解の問題に応用するには不十分である。しかし、そこにその手がかりがないかどうかーたぶん重要な手がかりがあると思うのだがー調べてみなければなるまいと」

最後に私の総括である。本書には、動物種によってそれぞれ見えている世界(環境世界)が違うことが示された。そして、人間は動物より広い環境世界を有している可能性がある。また動物種や人間個人によって見えている世界が違うということは、絶対的で客観的な世界というものはこの世にないという考え方にもつながる。一方、本書が書かれた時代的な制約ももちろんあるが、知覚標識から作用標識への脳内での処理過程についてはブラックボックスのままである。人間が表情や言葉によって伝えてくる複雑な知覚標識を主体がどのように把握・処理してどのように作用標識として表現しているのか、そのやり方が個人やなんらかの心理的タイプによって異なっているのかどうか、自閉スペクトル症者と定型発達者における知覚刺激に対する反応の違いといったことについても、とうぜん本書では扱われていない。本書で示された概念を応用したら、こうした問題にも取り組めるのかどうかも私にはわからなかった。しかし、将来何かの考えるヒントになるかもしれないので、環境世界の概念は頭の片隅に置いておこうと思った。


はとバスで東京観光ー東京は隈研吾が作っている!?

2020-08-22 22:42:42 | 東京・川崎

まだ梅雨が明ける前のことですが、はとバスで東京観光してきました(2020年7月26日)。この日は突発的な雨に見舞われてバスの乗車時刻を遅らせたため、時間に余裕ができたので、高輪ゲートウェイ駅を見て、東京駅近くの「KITTE丸の内」を覗いてからバスに乗ったのでした。

 

「KITTE丸の内」は日本郵便が展開する商業施設です。手前の低層階ビルは外から見るとこのような古そうな建築物ですが、

 

中に入ると、こんな明るくてキラキラした吹き抜け空間になっていて、その周りにショップが並んでいます。ここの書店「マルノウチリーディングスタイル」がおもしろい品ぞろえなので、見に来ました。

で、この内装はだれが設計していると思いますか?隈研吾でした。高輪ゲートウェイ駅に続いて、この日2件目の隈研吾建築でした。実は、この後のバス観光の後半でも次々と出てくるのです。

 

はとバスの2階建てオープンバスに乗って、1時間の「TOKYOパノラマドライブ(レインボーブリッジ&銀座)」コースに出発です。

 

皇居の内堀を越えて、

 

皇居外苑を抜けて、

 

警視庁前を通って、

 

国会正門前にやってきました。ここで左折して、

 

霞が関の官庁街を通過して、虎ノ門にやってきました。

 

先日紹介した虎ノ門ヒルズ森タワー。

 

そして、森ビルのニョキニョキ・タワーたちが続きます。

 

東京タワー。ここらへんは最近おなじみの場所です

 

赤羽橋の交差点で、来た道を振り返ります。

 

芝公園料金所から首都高に入ります。

 

レインボーブリッジ方向に入っていきます。オープンデッキの2階席で首都高を走るのはなかなかスリリングですよ。

 

レインボーブリッジが見えてきました。

 

レインボーブリッジ上から見る北の方面。

 

ザ・タワーズ台場。

 

有明清掃工場の窓ガラスに、いま乗っているはとバスが写っています。

 

有明コロシアム。

 

東雲運河の木遣り橋。

 

豊洲市場。

 

晴海大橋。

 

CLT パーク晴海。隈研吾がデザイン監修。

 

朝潮運河。

 

墨田川の勝どき橋です。

 

築地場外市場の筋の一本。

 

で、これまた隈研吾設計の築地KYビル。

 

2013年に完成した第5期歌舞伎座も隈研吾の設計。こういう伝統的な日本建築もやるんですね。

 

銀座四丁目の交差点。

 

ソニーショールーム/ソニーストア銀座。

 

和光本館デパート。

 

ザ・ペニンシュラ東京。そうとう高額なスイートルームがあると、ガイドさんが話していました。

 

雨が降ってきました。もうすぐ終着点なので、これ以上雨が激しくならないことを祈りつつ、

 

帝国劇場。ガイドさんから乗客にカッパが渡されました。

1階とつなぐ階段の後ろが私の席。

 

左が東京海上日動ビル、右が新丸の内ビルディング。

 

左がトランプ大統領が泊ったというパレスホテル東京、右が日本生命丸の内ガーデンタワー。

 

終着点の東京駅までやってきました。大雨にはならずになんとか戻ってきました。あっという間の1時間でしたが、東京の風景を堪能しました。そして、後で調べてわかったことですが、隈研吾設計の建築物のなんと多いことか、びっくりしました。


高輪ゲートウェイ駅

2020-08-15 09:57:10 | 東京・川崎

少し前に、家族で「はとバス」に乗ってきたのですが、乗降場所の東京駅に行く途中、新しくできた高輪ゲートウェイ駅を見てきました(2020年7月26日)。

高輪ゲートウェイ駅は、JR京浜東北線・山手線の田町駅(北)と品川駅(南)の間で、2020年3月14日に開業した新駅です。開催延期になりましたが、東京オリンピックの開催に合わせた開業です。

 

京浜東北線を降りて、ホームに出ました。とても明るくて開放的な感じです。

 

ホームの床やイス、駅舎骨格の柱などに木材がふんだんに使われています。

 

2Fの改札階に上がりました。

こういう開放的で木材を取り入れたスタイルは、隈研吾のような今風の建築なのかなと思って調べてみたら、案の定、隈研吾設計でした(同じ設計者の手による新国立競技場はこちら)。

 

外に出てみました。

3Fにスターバックスがあるので入ります。

 

3Fからの駅構内の眺め。

駅の東側には今でも広大な列車基地が残っています。


横田南嶺×川野泰周 対談

2020-08-10 08:21:32 | 瞑想・仏教

入院中によく見ていたのが、円覚寺管長の横田南嶺氏のYoutubeです。コロナ禍でできなくなった坐禅会での講話や大学での講演の代わりに、動画収録してYoutubeにアップしてくれています。そんなYoutubeビデオ法話の中に、林香寺住職で精神科医の川野泰周氏との対談「お寺で対談 – 第二回 –」が5回に分けて公開されていて、おもしろく見ていました。

川野住職によると、他人の心がわからない人が自閉スペクトル症候群(ASD)で、それとは反対に繊細過ぎて他人の感情が強く入ってきてしまう人がHSP(過敏性)であり、なにか全く異なる人たちであるような説明の仕方をしていましたが、どちらも根はいっしょであることがわかってないなと、突っ込みどころもありました。一方で、こうした人たちへのマインドフルネスの利用の仕方をその人のタイプに合わせて工夫しているという話は興味深いものでした。HSPの人たちは自分を責めてしまっているために自分に思いやりの気持ちを向ける慈悲の瞑想はうまくできないが、体験を観察していくシンプルな瞑想、例えば「食べる瞑想」は自分のことに気持ちを向けるいいきっかけになるといいます。また、HSPの人はそれぞれ過敏な感覚器官があるので、そうした感覚器官を使わない瞑想法が向いているそうです。うつ病などで自分を責める気持ちが強いうちは瞑想しようとしてもそうした気持ちがグルグル回ってしまうので、休息と薬物で症状を和らげてから、マインドフルネスをやってみるとうまくいくということです。

【お寺で対談⑤】マインドフルネスと禅の違い、HSPとマインドフルネス、マインドフルネス治療の効果 | 林香寺住職/精神科医 川野泰周氏・臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

 

横田管長は、セルフコンパッション(自慈心)についての話の中で、臨済録の中の一節を紹介していました。その内容は「仏道においてするべきことは、大便小便すること、服を着ること、ご飯を食べること、疲れたら寝るだけのこと。それ以外になにも求めるものはない、それが「無事」である」というものです。それが人間の根底にある尊厳であると言います。

私の入院生活についていうと、手術中は麻酔にかかっていて自分でできることは何もない、手術後には寝ることくらいはできて、だんだんと服を着る、小便大便する、ご飯を食べるというふうにできることが増えてきて、そのたびに安堵して人間らしさが戻ってきた感じがしました。なかなかこういう体験ができることはなく、あらためて自らを振り返ることができたのでした。

横田管長はさらに続けて言います。上記以外のことは、飾りや付けたしであるというものの見方ができるとアクセクしなくてすみます。つい業績を上げないといけない、評価されないといけないと考えてしまうが、そんなことは枝葉末節のことであって、上記のことができていればいいという考えが根底にあれば、それこそセルフコンパッションの最たるものだと最近になってやっと気がついたと言います。

【お寺で対談③】声の可能性、セルフ・コンパッション/自慈心 | 林香寺住職/精神科医 川野泰周氏・臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師