wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

菊名池公園のカルガモヒナたちのその後

2021-08-28 08:20:05 | バイオフィリア(身近な生き物たち)

7月4日に菊名池公園で見たカルガモの子たちは、その後どうしているのか気になって見に行ってきました(2021年8月22日)。

もう、あれから1ヶ月半以上経っています。カルガモのヒナは2ヵ月で巣立ちするそうなので、もう巣立ってしまった可能性もあります。それに、これだけ成長が早いのに、こんなに間をあけてしまうということは、生態学のフィールドワークとしては失格です。いやいや、これは研究でもなんでもなくて、おじさんの趣味でやっていることだからいいのです。

7月4日に見たあの4羽の子どもたちがどうなったかを見るために、

 

菊名池にやってきました。

池の中央にはコウホネが生い茂り、まん中にはササの小島があります。さすがにカルガモのヒナは見当たりませんが、

 

人が寄りつけない池の奥のほうに、カルガモの集団がいます。全部で12羽います。池の奥のほうでずっと過ごしている集団と、人がいるほうにも出てくる集団があるようです。

 

池の奥のほうにずっといる集団の一部がこれです。この写真ではたまたま4羽写っています。もしかしたら、この4羽が、今年生まれたあのヒナたちかもしれないという気もします。なんとなく幼いようにも見えます。ずっと観察してきたわけではないので確証はありません。しかし、もしそうだったら、無事でよかったなという気持ちでいっぱいです。

 

一方、人をあまりおそれていない集団がこちら。人がいるほうに泳いできて、水の中をのぞいたりしています。

 

そのうちの1羽が、水面を走りだしました。バシャバシャバシャと音を立てています。

 

別の個体も走り出しました。

 

こんどは、3羽で競争です。ボートレースのようです。

楽しくて遊んでいるように見えます。

 

奥のように集まりました。

 

そのうち、1羽がこちらに泳いできました。

 

水面に立ったり、

 

岩に乗っておかしな姿をしたり、

 

毛づくろいをしたりと、ここの生活にだいぶ慣れている大人のようです。


夏の雲が好き

2021-08-21 11:05:13 | つぶやき

夏は、雲が雄大で好きです。家から見ていても、その変幻自在な巨大な造形物はとつぜん出現して、どこか遠くに来たような気分にさせます。

積乱雲ができてきました。

てっぺんが横に広がってきました。積乱雲が成層圏(10~12 km上空)まで達するとそれ以上上に行けなくて、横に広がっていくといいます。雲が3層くらいに積み上がってるように見えます。

ここまで発達しましたけれど、このあと何もなかったように消えていきました。

 

これは黒くて不気味な雲の底です。

竜巻が下りてきそうなあやしい雰囲気です。

もう、雲が一部垂れていますが、このあと何もなかったかのように消えていきました。


哺乳類進化研究アップデート No.10ー世襲は人間以外の動物にもある

2021-08-14 08:31:47 | 哺乳類進化研究アップデート

ちょっと驚くべき論文が出たので、緊急で紹介します。

人間社会にみられる社会的地位の継承(世襲)は、人間に特有な文化であり、実力主義や平等主義に反する、どちらかというとネガティブな捉えられ方をすることが多いと思います。しかし、そんな社会的地位の世襲の存在が、人間以外の哺乳類でも発見されたというのです。

『「地位に依存した社会性の継承は、ブチハイエナの社会的ネットワーク構造を決定する」Rank-dependent social inheritance determines social network structure in spotted hyenas. Amiyaal Ilany, Kay E. Holekamp, Erol Akçay. Science 16 Jul 2021: Vol. 373, Issue 6552, pp. 348-352』という、イスラエルと米国の研究者による論文で、7月にサイエンス誌に掲載されました。この論文の内容をあらわした写真が、この号のサイエンス誌の表紙にもなっています。

なお、サイエンス誌は、論文が掲載されてから1年経たないと全文をフリーで見れません。掲載から1年間は高い購読料を払わないと読めません。そのため、すぐ見れる要旨から紹介します。

動物の社会的ネットワークの構造は、病原体や情報の伝播だけでなく、生存(寿命)や繁殖の成功にも影響を及ぼします。しかし、社会構造を決定する一般的なメカニズムは不明確なままです。ブチハイエナは、女性優位の高度に構築された社会システムを持つ動物です。27年間にわたって収集された、野生のブチハイエナにおける73,767の社会的相互関係のデータを使用することで、社会的継承のプロセスが、どのように自分の子の社会的関係の形成と維持を決定するかを示します。自分の子と他所の子の関係は6年間にわたって、その母親と他所の子の母親の関係に類似しており、類似度は母親の社会的地位が上がるほど増加します。母子関係の強さは、社会的継承(世襲)に影響を及ぼすとともに、子供の寿命と正の相関を示します。こうした結果は、社会的関係の継承は動物の社会的ネットワークを形づくることができ、適応的トレードオフの主題であるとする仮説をサポートします』

これを、少しわかりやすく書いてみます。ブチハイエナは母親たちと子供たちで社会を作っています。そして、母親たちはそれぞれ、ある特定の社会的地位を持っています。地位の高い母親もいれば、地位の低い母親もいます。その地位の高さによってエサにありつける順番が決まっているとか、なんからの利益の違いがあるのでしょう。そして、母親の地位が高ければその子供も地位が高くなるし、母親の地位が高ければ高いほど子供も高くなりやすい、というところが今回の発見です。

さらに、母子関係が強いほどこうした地位の継承は起きやすくなり、また子供の寿命も長くなるということです。つまり、人間も含めた哺乳類において「社会的地位の高さ=寿命の長さ=健康度の高さ(=幸福度の高さ(※私の解釈))」という式が成り立つという、前回紹介した総説論文の内容とも一致しています。

具体的にブチハイエナのどのような行動によって社会的地位の継承が起きるのかは、この要旨からだけではわかりません。しかし、人間だけに見られると思われた世襲といういわば文化的な現象が、他の哺乳類にその進化的起源がある可能性が示されたことになります。この社会的地位の継承に、遺伝子はどの程度関与しているのかが興味深いところです。社会的地位の高さをサポートするような遺伝子があるのであれば、母子間の遺伝で説明できるかもしれません。しかし、母子関係が強いほど継承が起きやすいということから、むしろ文化的伝達=ミーム的伝達によって説明したほうがより妥当なように思えます。

一方、エサにありつけないとか、病気で弱っているなど、困っている母親や子供がいたら助けてあげるような利他的行動は、こうした社会的地位の継承社会と共存しているのか、あるいは共存しえないのかといったことも、ぜひ知りたいものです。


PS

ここ数年、出版された心理学系の本の帯に、メンタリストDとかいう人の推薦文とポーズを取った写真が出ているのをよく見るようになりました。なんかうさん臭くて気持ち悪くて、せっかく本の中身が良くても買う気がしなくなるなと思っていました。これは、ほんとに個人的な印象で、あまり人に言えるようなことではなかったのですが、メンタリストDとかいう人はとうとう正体をあらわしてしまったようですね。


僕の読書ノート「はじめての小さな庭づくり(監修 山元和実)」

2021-08-07 14:25:57 | 書評(その他)

ベランダガーデンを始めたので、参考になるような本を探したのだが、最近出版されたようなベランダガーデンの本は見つからなかった。その代わりに選んだのが本書である。小さな庭づくりの入門書だから、ベランダガーデン作りにも役に立つだろうと考えたのである。

読んでおどろいたのは、知らない植物ばかり出てくることである。私も今から45年くらい前の小学生時代、図鑑を読んだり庭いじりをしたりして、少しは園芸植物のことを知ってはいたのだが、本書に出てくる植物品種で知っているのは1/5くらいしかなかった。それくらい、この間にとても多くの園芸品種が輸入や品種改良によって導入されたのだろう。

それから、本のタイトルには「はじめての」と書いてあるものの、この本に出てくる庭はほんとに見事な出来栄えで、ほとんどプロフェッショナルなレベルのものと思えた。だから、初心者には真似はできなくても、見ることで感性を磨くのには役に立つのかもしれない。ナチュラルな庭というよりは、フラワーアレンジメントのようなアートに近い世界だ。

巻頭言にこう書かれている。「小さな庭は、いわば植物を使ったアートのようなもの。キャンバスに絵を描くように、あなたならではの表現を、ぜひ楽しんでください」

小さな庭づくり5か条を引用する。

① 枯れることを恐れない、枯れてもがっかりしない。

② どんな小さなスペースでもあきらめない。

③ 最初から完璧を求めない。

④ アイデアが湧いたら、とにかく実行!

⑤ よく観察し、記録をとる。

①枯れてしまったら環境に合わなかったのだと、⑤学習して次に活かし、③無理せず少しずつ、②④チャレンジしていくことが肝要のようだ。枯れたり、病気になってしまうと、がっかりしたり後悔したりしやすい自分だが、さっさと諦めることも大事のようだ。

葉物野菜やハーブ類を集めた、実用と美しさを兼ね備えた「キッチンガーデン」も紹介されていて、おもしろいアイデアに思えた。ベランダガーデンにも活かせそうなのが「寄せ植え」で、一つの鉢に10種類もの植物を植えている例が紹介されている。そこまで多種類で構成しなくてもいいので、「寄せ植え」はいつかチャレンジしてみたいと思った。

この本は全体的なデザインのまとめ方が主に書かれているが、個々の植物の性質や育て方については、別途、地道に覚えていくしかないのだろうなと思った。