wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

角川武蔵野ミュージアムーその1(ところざわサクラタウン、コロナ禍とアマビエ展など)

2022-03-26 08:10:15 | 美術館・展覧会

角川武蔵野ミュージアムに行ってきました(2022年3月13日)。内容のボリュームが多いので2回に分けて紹介します。今回はその1。角川武蔵野ミュージアムは、設計が隈研吾氏、館長が松岡正剛氏ということで、前から行ってみたいと思っていたのですが、行くきっかけになったのはガチャガチャでした。

 

最近、隈研吾の建築ガチャガチャが出ていて、4アイテムあります。家族から買ってきてほしいと言われ、4個買ったのですが、そのうち3個が角川武蔵野ミュージアムで、1個が高輪ゲートウェイ駅でした。4個のうち3個も同じものを引いてしまったので、もうガチャガチャするなと妻から叱られて、これ以上買うのをやめました。代わりに、妻が別の2アイテムをネットで買って全部そろいました。まあ、これがきっかけで、角川武蔵野ミュージアムに家族で行くことになったのでした。

 

JR武蔵野線の東所沢駅から歩いて約10分で東所沢公園に着きます。この先に、角川武蔵野ミュージアムのある「ところざわサクラタウン」という一画があります。

ガンダムのきれいなマンホールです。

公園を歩くと見えてきました、「角川武蔵野ミュージアム」が。ガチャガチャの模型と比べてみます。うん、おんなじです。

 

ところざわサクラタウンに着きました。

 

ところざわサクラタウンに入ると、大魔神が出迎えてくれます。大魔神は、私が小さかったころ映画で見て怖かった記憶があります。まだ、現実とフィクションの区別がつかない年頃でした。後ろには武蔵野令和神社もあります。

 

タウンの中にあるEJアメニティホテル。中にはショップ&レストランやビジネスエリアも併設されています。

 

「コロナ禍とアマビエ」展が開催されていて、このペインティングは鴻池朋子さんの「武蔵野皮トンビ」です。

 

隈研吾氏の建築は、国立競技場のようにモダンかつ木を多用したやわらかいイメージが強いですが、角川武蔵野ミュージアムはとがっていますね。石で囲まれた巨大な石棺のような、要塞のような、異様な雰囲気を醸し出していて私は好きです。

 

外壁は、花崗岩をプレート状に加工したものが貼り付けられています。中国山東省産の石だそうです。花崗岩というと、先日ご紹介した真壁も真壁石という花崗岩(御影石)の産地として有名です。国会議事堂、日本銀行など重厚な建築に使われる石で、深いマグマから作られると言われています。

 

角川武蔵野ミュージアムの2Fロビーに入ると一つ目小僧が出迎えてくれます。

そして、奈良美智さんの作品や、

ウルトラマンブッダもあります。

 

松岡正剛館長の宣言文。

 

そして、「コロナ禍とアマビエ」展の作品が飾られています。2Fでは無料で見れます。

会田誠さんの「疫病退散アマビヱ之図」。

 

大小島真木さんの「綻びの螺旋」の一部。

 

大岩オスカールさんの「太陽と10匹の妖怪」。

そして、ここから先は4Fエディットアンドアートギャラリーに展示されていて、入るのにチケット購入が必要です。

ゴミの山に見えるが、よく見ると、

作者はだれだったか。

 

会田誠さんの首相演説ビデオ作品。

荒神明香さんの作品。

 

川島秀明さんの作品。

 

会田誠さんの作品。墓碑銘でしょうか?可笑しいのですが、ブラックユーモアが入っていますよね。

(つづく)


僕の読書ノート「現代思想 2021年10月号 特集=進化論の現在」

2022-03-19 13:57:30 | 書評(進化学とその展開)

本号は「特集*進化論の現在」ということで、進化論の人文社会学における扱い、影響を知りたいと思って購入した。現代思想らしい、あきらかに一般読者向けではない堅い(固い)文章が続く。ユヴァル・ノア・ハラリの本を読むのとはわけが違う。そして、2段組み230ページというボリュームもあり、読むのに難儀したが、なんとか読了した。半分も理解できていないかもしれないが、様々な分野からの話題が提供されているので、少しは知見が広まったのではないだろうか。それから、主題・副題の「進化論の現在ーポスト・ヒューマン時代の人類と地球の未来」という未来的な方向性で書かれた文章はあまりなかった。どちらかというと、個々の学問分野の過去における議論について総括している文章がほとんどだった。また、進化論と人文学との交点でもある進化心理学に関する話題や、イデオロギーと疑似科学が結びついた旧ソ連のルイセンコ進化論に関する議論がなかったのも残念だ。

たくさんの小論文が集められているので、それぞれのタイトル、著者(専門分野)、私の一言まとめを記して備忘録としたい。

・「進化生物学の現在」長谷川真理子(行動生態学)ー進化をめぐる誤謬が3つ(種の保存、完璧、進歩)まとめられている。

・「体系学の舞台は変転し続ける」三中信宏(進化生物学)ー生物学の問題がコンピューター科学や数学・統計学の周辺科学と絡みあうようになるのは、分子データを扱うようになるよりも前、形態データが扱われていた時代のことであった。

・「考古学と進化論」中尾央(自然哲学)ー生物体が環境に働きかけ、環境を作り替えることによって選択圧そのものを変えてしまう、ニッチ構築理論というものがある。

・「「表情研究」の現在と課題」中嶋智史(実験心理学)ー表情の適応的意義は不明であったが、近年、複数の表情筋の組み合わせから表情の解析を行う手法(FACS)によって、様々な哺乳類、とくに霊長類における表情の表出についての系統的な研究が開始されつつある。

・「自然における意識の位置づけを問い直す」米田翼(哲学)ー19世紀後半、進化生物学と実験心理学が合流して「比較心理学」という研究プログラムが成立し、その創始者の一人ジョージ・ロマネスは、人間と動物の「心の連続性」について述べた最初の人物とされている。

・「21世紀のハーバート・スペンサー」藤田祐(近代イギリス思想史)ーダーウィンの「種の起源」(1859)を受けて、スペンサーは「適者生存」(1864)という言葉を提唱したので、スペンサー社会進化論が「社会ダーウィニズム」と呼ばれることが多いが、ダーウィンではなくラマルク進化理論であるという説もある。

・「進化論の被造物」伊藤剛史(イギリス史)ー近代イギリスには2つの動物観が現れた。一つは、ダーウィン的な人と動物の差は程度の差にすぎず、本質的なものではないというもの。もう一つは、人には動物を虐待から守るべき責務があるというもので、すでに19世紀には動物虐待防止法が制定されている。

・「社会的動物/家畜的人間」橋本一径(表象文化論)ー社会ダーウィニズムや社会生物学が、社会性の起源として動物たちの利他行動に着目したとき、ミツバチは再発見された。あらゆる動物に等しく権利を認めることを突き詰めれば、やがて昆虫の権利や、果ては植物の権利を認めるか否かといった議論ー巨大な困難ーに行き着くことは避けられない。

・「<自然な科学>としての進化論」吉川浩満(文筆家)ー自己啓発の源流にニューソートという宗教運動があり、その教義は「人間が心の中で強く思ったことは必ず現実化する」(ポジティヴ・シンキング)というものである。ニューソートでは、「進化」という語が多用されるが、その理由は進化論(ダーウィニズム)が目的論を自然主義的な枠組みで扱えるようにしたことと関係がありそうだ。

・「「肥満の流行」とメタファーとしての「進化」」碇陽子(文化人類学)ー肥満差別という差別概念がある。これに反対するのがファット・アクセプタンス運動である。肥満差別においては、適者生存の考え方が根底にある。

・「人はなぜ虫をきらうのか」足達太郎(応用昆虫学/熱帯作物保護学)ー虫は人間の役に立ってきたが、いっぽうで人間に深刻なわざわいももたらしてきた。畑の作物を食いつくしたり、病気を伝播したりし、しだいに「害虫」とよばれることになる。

・「進化論と日本人種論」徳田匡(歴史社会学)ー「系統樹」を発表したのは生物学だけではなかった。ダーウィンの「種の起源」(1859年)に先立つ1953年に比較言語学者のアウグスト・シュライヒャーが言語の系統樹を発表している。比較言語学の特徴の一つは、「言語」を人間から切り離して「自然」として考察する。

・「デヴィッド・グレーバーの人類学と進化論」片岡大右(社会思想史/フランス文学)ー人類学とは、単に人文・社会科学の一部門にとどまる学問ではない。理系の人類学ー自然人類学あるいは生物学的人類学ーは、ダーウィニズムの刷新と結びついて目覚ましい成果を上げてきた。そうした成果を背景に、進化生物学の側から文化および社会人類学に対いて投げかけられる学問的総合の呼びかけを前にして、ティム・インゴルドのような文系の人類学者は警戒心を示す。

・「バイオソーシャル・ビカミングス抄」奥野克巳(文化人類学)ー再度、インゴルドが登場する。男が狩りをする社会では、男は家族に与える肉を持って帰るために狩りをしようと考える一方で、獲物を獲ることは捕食者と獲物間の相互関係という生態学的な力学の影響を受ける。前者は社会人類学(社会関係)、後者は動物生態学(有機体)で理解されるかもしれないが、インゴルドはこのように二面で捉えるのではなく、ひとつの同じものだと主張する。

・「パンデミックの時代なのだろうか?」ディペッシュ・チャクラバルティー人間たちは常に自らの技術を改善しアップデートするが、それと同時に微生物は、しばしば人間自身によって作り出された何らかの状況で進化し宿主を変えていこうとする。終わりなき戦いである。

・「性・優生学・人類の未来」加藤秀一(社会学/性現象学)ー現代の進化生物学をかくあらしめるのに多大な貢献をした人々の中に、堂々と優生学の必要性を訴える人物がいる。「分子進化の中立説」をとなえた日本の遺伝学者・木村資生も、血縁淘汰説をとなえたW・D・ハミルトンもそうである。ハミルトンの主張は、現代は医療によって弱いものが淘汰されなくなったというものだが、進化を進歩と混同し、適応を向上と同一視しているようなところがある。何らかの遺伝子変異をもつがゆえに従来は短命だった個体が、医療の発展によって救命され、長じて子孫を残しうる確率が高まったなら、それはその個体あるいは遺伝子が新たな環境の変化に適応したというだけのことである。

・「クリスパー(CRISPR)哲学とラマルクの危険な思想」美馬達哉(医療社会学/神経科学)ー前出の藤田の主張にも近いことが書かれている。ダーウィニズムを事後的な自然淘汰のメカニズムを重視する思想で、ラマルキズムを事前のバイアスによる方向性を持った突然変異を強調する思想とみなす限りは、優生学を含む人類による意図的なデザインによる遺伝改造の試みはダーウィニズムではなくラマルキズムと親和的である。これまで、社会ダーウィニズムと呼ばれてきた思想は、かつて一度もダーウィニズムであったためしはなく、社会ラマルキズムであった。

・「神経生態社会性にむけて」ニコラス・ローズ、ラスムス・バーク、ニック・マニングーメンタルヘルスを、神経科学的な面からではなく、社会的な問題として考察している。権力と社会的排除、社会統制と抵抗、アイデンティティ、ジェンダー、人権化とスティグマ化、自己、主観性と主体化、規範、正常性と正常化、知識とその権威は、精神病と名づけられるようになったものを理解するための中心的な概念になった。


茨城の城下町、真壁に行く

2022-03-12 07:50:08 | 茨城・栃木・埼玉

先日、茨城県の実家に帰ったおり、古い町並みの残る真壁に寄ってきました(2022年2月27日)。

実家には両親含めて3人が住んでいますが、そのうち2人は病人のため、様子を見るのと今後のことを相談するために時々帰っています。唯一元気な父親には車で近くの目ぼしい観光地によく連れて行ってもらっています。実家は筑西市にあり、私は小学校から高校までの12年間住んでいたのですが、若かったときは歴史的な町などにまったく興味がありませんでした。そのため、まだ行ったことのない近隣の歴史的名所がいくつか残っています。今回は、そのうちの一つ、桜川市真壁町の旧市街に連れて行ってもらいました。国の重要伝統的建造物群保存地区になっているそうです。

 

実家の庭に咲くフクジュソウ。

小さなセツブンソウの花。

クリスマスローズはまだつぼみ。

 

そして、実家では去年の夏ごろからオスネコを飼っています。子ネコのときに玄関にいたので育てることにしたそうです。誰かが捨てていったのか、ノラネコの母親が置いていったのか、わかりません。しかし、似た大人ネコが時々うちの庭に来るらしいので、後者ではないかと実家の人たちは推測しています。若いオスネコだから、元気で気性も荒く、私が家に上がると近くに寄ってきてずっと唸っていて今にも攻撃されそうなので、ケージに入れてもらいました。

次の日、ケージから出たネコは、私にも少し慣れてきたようで、遊んであげたら、楽しくてしょうがないらしくて、しつこいしつこい。写真は、私の服の袖のところを噛みつきに来ているようす。

 

真壁の旧市街巡りは、真壁伝承館から始まります。ここは江戸時代の真壁藩、のちに笠間藩の役所である真壁陣屋のあった場所に作られた施設で、本館、歴史資料館、図書館、ホールからなっています。設計組織ADH(木下庸子、渡辺真理) が設計した建物で、グッドデザイン賞、日本建築学会賞の他、多くの賞を取っていて、建築物としても注目されています。

 

建物の写真をたくさん撮ったのですが、ファイルが壊れてしまい、お見せできるのはこの2枚だけです。

 

歴史資料館の展示。展示計画を東京大学総合研究博物館が行っているということで、片田舎の資料館にしては本格的な作りになっています。3万5千年前にはここに人が住んでいたのですね。

 

そして、真壁城があったのです。戦国時代に藩主の真壁家によって築城されました。その城下町としての名残が今の真壁旧市街です。平安時代には真壁長幹が、源頼朝の奥州合戦に従軍したそうです。それ以外にも、日本の歴史にはいろいろと絡んでいるようです。

 

真壁伝承館を出て、街を少し歩いてみます。ムラカミ書店では、真壁土を使った窯変(ようへん)陶器が販売されていました。鉄分の多い真壁土を用い、釉薬で表面を覆って還元状態にして、1300℃という高温で焼くと、10回に1回くらいの確率できれいな鉄の光沢が現れるので、それを売っているのだと、(おそらく)作者の作二郎さんが熱心に説明してくれました。独特ですね。

 

蔵を利用したクラフト屋さん。

 

村井醸造。

 

根本医院。門の左のほうに立っているのは登録文化財のしるしです。真壁には、102棟の登録文化財があるそうです。

 

上宿通りの先の山のふもとのあたりが真壁城跡です。

 

伊勢屋旅館。明治中期の建物。

玄関の雛人形を中心とした置物や装飾に、タイムスリップしたような感覚を覚えます。

江戸時代には勢州楼という料亭だったそうです。

 

すこし歩いただけでも、これだけの古い建物がありました。多くは明治時代の建築のようです。

ここ真壁町は交通の便がわるいのが残念です。私が小学生だったころは、筑波鉄道というのが通っていたのですが、廃線となり、いまは陸の孤島のような場所です。水戸線岩瀬駅とつくばエクスプレスつくば駅からバスで行けるようですが、不便です。それでも、ゆっくり1日かけて探索してみたいなと思う町でした。その時は、伊勢屋旅館に泊まりたいものです。


哺乳類進化研究アップデート No.18ーシュプリンガー・ネイチャー社の推す2021年進化生物学論文

2022-03-06 10:57:26 | 哺乳類進化研究アップデート

ネイチャーとその姉妹紙の他、多くの学術雑誌を出版しているシュプリンガー・ネイチャー社が、2021年の研究ハイライトとして各分野9報ずつ論文をリストアップしました。その中から、進化生物学分野で推されている論文9報を紹介します。今回は哺乳類に限定しないで、進化生物学全体で今注目されている研究は何かを見ていきたいと思います。9報について、タイトル、雑誌名、私のかんたんな説明を書いてみました。

 

①「SARS-CoV-2変異体、スパイク変異および免疫回避」Nature Reviews Microbiology

新型コロナウイルスの表面のスパイクタンパク質の遺伝子がワクチンとして利用されていますが、ここの部分が変異=進化を続けています。ワクチンをどう設計するかにも影響することであり、これまでの研究結果がまとめられてます。

②「進化の歴史が人間の健康と病気に及ぼす影響」Nature Reviews Genetics

人間の病気のリスクに与える遺伝的変異は、人間やずっと先祖の進化に起源があります。そうした研究分野は進化医学といわれますが、進化医学の知見を整理して、医療への応用可能性を探っています。

③「フクロオオカミと小型捕食性イヌ科動物の機能的生態学的収束性」BMC Ecology and Evolution

有袋類のフクロオオカミは絶滅したため、その生態はわかっていません。一方で、別系統の有胎盤類で形態的に似ているオオカミや犬とは、収斂進化したと考えられてきました。これらの動物たちの頭蓋骨形状を比較することで捕食していた獲物の大きさを予測しました。その結果フクロオオカミは、オオカミや犬より、自分の半分以下の獲物を捕食する中型のイヌ科動物(ジャッカル、キツネなど)と生態が似ているという予測が得られ、より詳細な比較が重要だということが示唆されました。

④「性的対立は、免疫における性的二形性のミクロ進化とマクロ進化を促進します」BMC Biology

免疫の機能は「オスとメスで違いがある」=「性的二形性がある」と言われています。ここでは、昆虫の免疫物質であり、メスのほうが活性の高いフェノールオキシダーゼ活性が検討されました。この昆虫は、自然環境下では一夫多妻制を示しますが、強制的に一夫一妻制にすると、メスのフェノールオキシダーゼ活性が低下することが示されました。このことは、交配による感染リスクに対して免疫が調整されていることを示しているらしいです。

⑤「進化と生態学のモデルシステムとしてのコクヌストモドキ」Heredity

甲虫のコクヌストモドキは、1世紀以上にわたって有用な実験モデルとして使用されてきました。ここでは、この昆虫を用いて行われてきた生態学や進化学の研究をレビューし、遺伝子操作の面での利便性も述べられています。

⑥「発情行動への関与の程度を伝える性的信号であるオスのアカシカの暗い腹側のパッチ」BMC Zoology

発情の季節に、オスのアカシカでは腹側に暗いパッチが現れます。このパッチの発現と発情行動の関係を観察したところ、大きなパッチを発現しているオスでは、より高い頻度の発情行動(主に轟音とフレーメン)、メスとのより多くの相互作用を示し、より大きなハーレムサイズを達成したことがわかりました。このことから、パッチの発現は、交配に向けたオスの意欲の指標になると考えられました。

⑦「系統発生的に定義されたクレード名を使用した化石および生きているカメの命名法」Swiss Journal of Palaeontology

これまで研究者によって、カメのクレード(分岐群)に基づく系統発生的な命名がされてきました。しかし、これは新しく制定されたクレード命名法であるPhyloCodeに基づいていなかったため、今回、新たな命名法に従ってカメのクレードや種名が変換されたということです。

⑧「恐竜から鳥への大進化、運動装置、そして飛行の起源」Journal of Iberian Geology

鳥は恐竜からの大進化で出現したことは化石の研究で明確になっていますが、その過程はまだ不明点もあります。鳥になる手前の恐竜であるマニラプトル類の化石の研究により、すでに空中移動が発達していたことが示されました。マニラプトル類が飛ぶための運動装置である前肢を発達させた過程が検討されています。

⑨「化石および生きている海洋爬虫類における移動装置と近軸水泳:偽竜目、首長竜目、およびウミガメ目との比較」PalZ

爬虫類のうち、化石で残る偽竜目、首長竜目、そして現生のウミガメ目は海に生息し、水生近軸運動という移動法を進化させました。これら3グループについて、移動スタイルー漕ぎ、漕ぎ飛行、水中飛行ーが比較されました。

 

以上、基礎的な分類法や行動生態学から医療に関わることまで多様な分野の研究が含まれていました。これらの研究で対象となった生物を分類すると、ウイルス1報、昆虫2報、爬虫類3報、哺乳類3報となっています。植物はありませんでした。哺乳類を対象とした面白そうな論文については、今後ピックアップして紹介してみたいと思います。