がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

当サイトの掲載写真・イラスト等の無断転載/無断使用を禁じます

一生に一度のチャンス、杮葺の首里城正殿

2024年06月19日 | ・琉球/沖縄、徒然日記

 

2026年の完成を目指して、
復興が進む首里城正殿。

現在の、屋根の様子です。

 

実は私が1番見たかった工程で、
みなさんにも激推ししたいのが、
今のこの状態!!
(去った作品展でのギャラリートークでも力説したほど)

 

首里城の屋根と言えば、誰もが赤瓦葺を思い浮かべると思いますが、
首里城は、屋根の軽量化と耐久性向上を目的に
土ではなく杮葺(こけらぶき)を下地にする
空葺工法が取り入れられています。
(参『首里城の復元 正殿復元の考え方・根拠を中心に』)

平成の復元時と同様、
今回の令和の復元でもその工法が踏襲されているわけです。

 

 

杮葺とは日本の伝統建築のひとつで、板葺の一種です。

薄い板を重ねて竹釘で固定していきます。
とにかく緻密で、気の遠くなるような作業。

動画→

 

杮葺の代表的な建築物には
金閣寺や銀閣寺があります。

 

 

美しいですね…

 

板葺きの、杮葺の首里城正殿!

なぜ私がこんなにこの状態を見るのを楽しみにしていて
こんなに推したいのかというと、

ざっくりいうと、

古琉球の首里城の姿だから。

 

首里城は500年あまりの歴史の中で
ずーーーーーーっと同じビジュアルだったのではなく、
歴史とともに、変わってきています。

最も分かりやすいのが屋根。

 


▲『首里城復興STORY』より(作画/和々)

 

古琉球の時代(特に15世紀後半~)の首里城は
板葺きだったことが記録されており、
おそらく杮葺だったであろうことが
同時代につくられた玉陵や園比屋武御嶽石門などから
推測できます。

 

あくまで瓦葺の下地としての杮葺(状)ではありますが、
古琉球の板葺首里城が、実際にこの目で見られるとは
胸熱すぎる…ッッ!!!

※私は「板葺の色のまま説」を採っていますが、
「表面に錫が塗られて灰色だった説」を採る方は
脳内で着色していただいて…

 

古琉球の板葺き(杮葺)首里城については
推定復元図を描いており、
過去記事で詳しく述べていますので
良かったらご覧ください→

 

 

 

そして、

おそらく、

これを逃すと、

この板葺首里城を生で見れることは
もう、一生ないと思います。

 

生で見られるのは瓦が葺かれる前の、
今の、この時だけ…ッッ!!

いつ瓦が葺かれ始めるかは分かりませんが、
6月中はおそらく大丈夫だと思います。

6月末の土日には完全に覆われている状態かな!?
でも作業の様子が見られる平日もおすすめ!

 

7/1からは首里城の駐車場料金(2時間利用の場合)が
2倍になるので(ぐはぁッ!)
6月中の見学をおすすめします!

 

 

ただ、公式からは今のこの進捗および杮葺についての発信が一切なく
見学デッキにも何も説明もないのが至極残念…。
(見に来るお客さんみんな、杮葺作業に興味津々だったのに…!)

これほど貴重なシーンはなく、
教育にも観光にも利用できるチャンスだというのに…!!!!

「見せる復興」で頑張っている首里城ですが
同時に「発信する復興」も頑張ってほしい…!!!!!

ライブカメラとまでは言いません、
定点写真でもいいから、
定期的に、せめて週に2回くらいは
「首里城復興なう」をSNSで発信してほしい

 

 

【追記】

6.23(日)の夕方に寄ってみたときの状態です。

木曜日夕方時点でここまで進んでいたので、
翌金曜日には完全に覆われるだろうと思って行ったのですが、

金曜日はここの作業はしなかったのか、
上部の量端を微妙に残したまま…の状態でした。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 相棒 | トップ | 【開催】Pop in Ryukyu selec... »