京大阿武山観測所では、現在も地震や地殻活動の観測を行っていますが、外部の影響を出来るだけ避けるために、裏山の中腹に観測坑が掘られ、見学することはできません。
その代わり、建物の地下室には、地震観測の歴史を表わす歴代の地震計が展示されていて、いずれ博物館にする計画も考えられています。
ウィヘルト地震計。1904年にドイツのエミル・ウィーヘルトが作成した大型の機械式地震計で遠くの地震を多数観測しました。写真では一部しか写せませんでしたが、とても大きなものです。
阿武山では1929(昭和4)年、観測所開設と同時に設置され、1991(平成3)年6月末まで稼働していました。
この頃の地震の動きを記録する紙は、灯油の煤を紙にふりかけたもので、その面を針が引っかいて振動の跡を記録していたので、観測員の仕事は煤がけが重要な作業で大変な仕事だったようです。
ガリチン地震計。
ロシアのボリス・ガリチンが作ったもので、電磁式地震計としては最も古いもの。
阿武山では、1938(昭和13)年頃に設置され、1964(昭和39)年までの記録が保存されています。
佐々式大震計。
1934年(昭和9)年、佐々憲三によって近くの大地震を記録するために開発された地震計で、地震の完全な波形を初めてとらえました。1997(平成9)年12月末で観測を終了しました。
最近の地震計としては、
海底に沈めて観測する地震計や、
「満点地震計」といって、小型軽量の地震計を多数の地点に設置する方法が取られてきています。
地震観測はますます重要性が増してきている科学ですから、こちらの観測所にもますます頑張って観測・研究を続けていってもらいたいものです。
高槻の農場、阿武山観測所と、京大の施設を見学させてもらった後は、近くの摂津峡温泉に寄って、川の側の露天風呂で暖ったまって帰ってきました。