淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

スティーヴン・ソダーバーグ監督の「オーシャンズ13」。今回が一番面白かった!

2007年08月05日 | Weblog
 スティーヴン・ソダーバーグという監督、これまでもスタイリッシュながら何処か冷めた視点に立って、次々と話題作や問題作を世に送り出してきた。

 スティーヴン・ソダーバーグは、13歳から映画を撮り始め、地元の高校を卒業した後、故郷でドキュメンタリーなどを制作し、1989年、「セックスと嘘とビデオテープ」で監督デビューし、なんとその処女作が、「サンダンス映画祭観客賞」と「カンヌ映画祭」のパルムドールを受賞する。

 確かに衝撃的なデビューではあった。
 当時、その話題の映画を観ようとすぐに映画館に飛び込み、デビュー作の「セックスと嘘とビデオテープ」を観たわけだけれど、そのときはちょっと肩透かしを食わされた気がした。
 どことなくクールで、冷め切ったような撮り方は別に嫌いじゃなかったのだが、「サンダンス映画祭観客賞」と「カンヌ映画祭」のパルムドールを獲るほど傑作映画だとは到底思えなかったのである。
 勿論、今もう一度観てみたら全く別の感想を抱くのかもしれないけれど・・・。

 スティーヴン・ソダーバーグは、その後しばらく低迷期が続く。期待が大きすぎて、プレッシャーを感じたのかもしれない。
 ジョージ・クルーニーが主演した「アウト・オブ・サイト」でメジャー映画を監督するようになるのである。
 この映画は、映画評論家筋でもかなりの高い評価を受けた。でも僕はどうも駄目だった。つまらなかった。期待外れという言い方のほうが正しいのかも。
 スティーヴン・ソダーバーグの、玄人っぽい演出というか、凝った映像美というか、そういう彼独特の映画的な文体が鼻に付くのである。

 でも映画はヒットし、いつの間にかスティーヴン・ソダーバーグは、巨匠の仲間入りを果たした。
 そしてついに、「エリン・ブロコビッチ」と「トラフィック」という素晴らしい二つの作品によって、アカデミー監督賞にダブル・ノミネートされ、「トラフィック」で受賞を果たすまでとなった。

 この2作品は確かに凄い。
 この「エリン・ブロコビッチ」と「トラフィック」という素晴らしい映画によって、僕個人のスティーヴン・ソダーバーグ評も180度変わってしまった。
 どちらも、芸術的な匂いと、それとは異質な娯楽性の匂いとの両面を持っていて、そのどちらもちょうど上手い具合に混じり合うことで、極上のエンターテイメント性を生み出すことに成功していたからだ。

 そして、スティーヴン・ソダーバーグは、2001年、ハリウッド・オールスターキャスト総出演による話題の映画、「オーシャンズ11」を作った。
 「オーシャンズ11」は大ヒット! そして「12」が続編で作られ、これもまた大ヒット。3作目となるこの「オーシャンズ13」も、アメリカのサマーシーズンに公開され、当然大ヒットを記録することとなった。

 ラスベガスのカジノホテルを舞台にした、華麗でスマートな犯罪チームによるスリリングな駆け引きを描いた人気シリーズの第3弾である。
 仲間の一人を窮地に陥れ、口も効けなくなるほど精神的なダメージを受けさせた冷酷な悪徳ホテル王に復讐すべく、みたび集結したオーシャンズが立ち上がるという内容である。

 今回はジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットら、おなじみのレギュラー・キャストに加えて、新たにアル・パチーノとエレン・バーキンが初参戦? している。

 犯罪グループであるオーシャンズの古参メンバーの一人ルーベンは、これまで所有する全てのホテルで最高格付けの「5つダイヤ賞」を獲得してきた業界屈指のホテル王バンク(アル・パチーノ)と組み、ラスベガスの巨大ホテルの共同経営を進めていた。
 しかし、バンクに裏切られたショックで心筋梗塞に倒れ、危篤状態になってしまう。その報せを受け集まったオーシャンたちは、復讐を誓い、因縁の宿敵までも味方に引き入れ、壮大なプロジェクトを仕掛ける・・・。

 今回は、導入部から猛スピード状態!
 これまでだと、いわゆる「オーシャンと仲間たち」の一人一人を描くことに専念しなければならないという、ハンディを背負わされていたけれど、それも3作目ともなると当然いらなくなる。なので、あとは緊張感を保たせ、一気にハラハラ・ドキドキの犯罪劇を観客に提示することにのみ専念すればいいわけで。

 結果、これまでの「11」、「12」よりも数段面白い、集団犯罪劇の傑作となって現れた。
 2時間、全く飽きることなく、悪のホテル王バンクとの攻防戦に目が釘づけとなる。仮に、人間がちゃんと描かれていないという批判があるとすれば、それは前作できちんと描いているじゃんと居直るしかない。

 スピーディかつスタイリッシュ。面白い。



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