そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

3月8日(木)かんちょうが入り込む?

2012年03月08日 | 公開

 今日は終日家で原稿が書けるぞと思っていたら、委員長を務める某委員会所管のB部より、相談があるからすぐ来て欲しいとの緊急メールがあった。そんな殺生な。電話をかけ、メールで何とかするから様子をみてよということにする。すると今度は、社会人向け講座の担当者から電話があり、せんせい夏秋講座のシラバスは?ときた。そんなの頼まれた記憶がないが、何か勘違いしていたらしい。依頼を再送してもらうことにして、今夜中になんとかしますとお返事する。

 柳亭痴楽のCDを聴きながら、ばたばたしているうちに夕方になる。姑殿が、晩ご飯は~?と降りておいでになる(ウチは二階が姑殿、一階が同居人一家の二世代住宅なのだ)。はいはい、私が作りますがな。

 豚肉とキャベツを炒め、キムチの残りを炒め合わせたものを主菜に、後はにんにくの芽とうどを炒めた。野菜だらけ。そうこうしているうちに、同居人が帰宅。

 終日勤務先で研究会だったようだが、ちょっと聞いてよ呆れちゃったと仰せになる。シンポジウムの起こし原稿のチェックを命ぜられたそうなのだが、「脳病院」が「能狂言」になっているのよ…という。で、シンポジウムに出ていたM教授も「能狂言」のつもりで話していたんだって…と呆れているが、そういう聞き間違いはまま起こるものだろう。だからこそチェックの意味もあるのだ。その聞き違いを注にしたら面白いぜと申し上げたが、お取り上げにはならなかった。だいいち、「脳病院」なんて語彙は、若い世代には分からんだろう。まったく、大阪弁が分からないんだわと憤慨しても、お前さんは大坂言葉がご専門の一つだろうが、皆が皆そうではないぞよ。

 娘もこの間、私が読んでいた『牡蠣と紐育』を見て、どうしてお父さんはカキ養殖の本なんか読んでるのかしら?と訝しんでいたそうだが、それは『牡蠣と飼育』と読み間違ったらしいんだな。…なるほど、似た字は読み間違える、池田亀鑑の言うとおりだ。聞き間違いに、読み間違い、だからこの世は面白い。

 大震災から1年になるので、TVではいろいろ、そういう話題をやっている。津波で破壊された釜石港の防潮堤の再建について報じていたから、防潮堤が壊れたんじゃ、さぞかしスパイが入り込んで来たでしょうなあと姑殿に申し上げると、即座にお分かりになった。さすが昭和一桁世代だ。同居人は???という顔をしているので、「かんちょう」が入ってくるんだよと説明すると、満潮じゃないのときたから、お前は「間諜」という言葉も知らんのか!と嘆いた。今度は浣腸液が入ってくるの?とは、いずれにしても食事どきの話題ではなかった。まだ分かりませんかな? 時局用語に「防諜」というのがあったのだ。今や日本はスパイ天国、防諜の効果無し、津波にやられるのも当然か?

 早めにベッドに入ったら、千葉県にある大学のW先生からお電話がきて、叩き起こされる。前置きのお話が長かったが、要するに講演の依頼だった。いいですよ、ちょうど千葉県ネタがあると、二つ返事でお引き受けする。7月7日に、1時間ほど喋ればよいらしい。受話器を置くと、あなた、屁こきながら電話するのはよしなさい、先方に聞こえるわよと同居人に叱られた。うすくこき~と、後鳥羽院宮内卿の和歌で誤魔化す。くない卿ではなくて、くさい卿か? あとまでにほふ瓦斯のむら消え~。

 こりゃ、にんにくの芽炒めを食い過ぎたな。