これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
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勝手にふるえてろ

2010年09月26日 17時12分53秒 | 読書
あまりの涼しさにちょっと早いのですが
衣替えをしました。
先週までは連日30℃を越えていたのに
まさかの冷え込み具合で
25℃辺りのちょうどいい陽気がすっ飛んでしまい
残念な気持ちです。
でも涼しくなったおかげか、咳が治まってきたのは助かります。

今日は日向は暖かかったので、公園で
綿矢りさ著「勝手にふるえてろ」を読みました。
150ページ強しかないので
1時間30分で読了しました。
こういう殺人も事件も起こらない小説としては
相当面白かったです。

前作「夢を与える」よりは「インストール」「蹴りたい背中」に
近いテイストで、
26歳のOL江藤良香(よしか)が、積年の脳内片思いと、
突然訪れたリアル恋愛とのはざまで揺れ動く、恋愛小説です。
とにかく出だしの
『いつからだろう、
さらなる飛躍という言葉が階段を駆けのぼるイメージではなくなり、
遠くで輝くものを飛び上がってつかみ取り、
すぐに飽きてまるきり価値のないものとして暗い足元へ放る、
そしてまた遠くへ向かって手を伸ばす、
そのくり返しのイメージに変わってきたのは』という文章が好きで
これだけで先が期待できました。

良香がイチという片思いの相手との会話のエピソードで
アンモナイトが進化するに従って
巻きが普通じゃなくなってきて、最後は醜いひもになる
進化も進みすぎると狂うことの代表例のように言われているけど
でもそれは環境に合わせて生きやすいように変形しただけで
見た目の均整が取れていないからって
異常だと決め付ける人間がおかしいっていう話があって
たしかに人間って自分たちの都合のいい解釈に
何でも持っていくことが多いよなぁって。

この良香っていうのが、
ずっと片思いしていたのに案外あっけなく諦めるところとか
衝動的に妊娠したと偽って仕事を辞めようとしたりとか
かなり理解しずらいキャタクターなんですけど
自分が女性だったらこういう人間になるんじゃないかなぁ、
って思ったりしました。
普段は自己評価が低いくせに、変なところで自意識過剰で
基本的に自分目線でしか物事を考えないところとか
結構似ているかなぁって。
小説読んでいると何でこんな言動をとるのか理解できないことが
多々ありますが
翻ってもし自分のことを小説にしたら
ほとんどの人からはこんなことするなんて理解できない、
って思われるに違いなく、
結局主観でしか生きられないんでしょう。

それにしても装画がひどくて、
これじゃ買いたくなる人いなくなっちゃうんじゃないかなぁ。
普段は装丁とか気にしない方だけど
もうちょっと何とかならなかったのか。
綿矢さん、あまりこういうことで注文つけなさそうだもんな。
綿矢さんって何か閉じた感じがするんですよね、
中々、内には入れさせないけど、
一回入ってしまえばとても信頼できるというか。
逆に、開いている人は、最初はとっつきやすいんだけど
自分にとって役立つ人間かそうでない人間か仕分けして
役立つ人間で囲っていく人ってイメージがあるんですよね。

ルックス的にも好きなタイプだから
頑張ってもらいたいんですけど
湊かなえみたいに量産するばいいってもんじゃないし
地道にやってもらうのが一番かなぁ。

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