職場で
育児休暇中の
お母さんから
抱っこをしてと
せがまれて
気軽に
引き受けたが
36年ぶりの
誕生の
記憶が
私の腕を
収縮させた
すべすべの
片栗粉を
まぶした
つきたての
餅とみまがう
柔らかな肌
しあわせの
細胞分裂が
母親の
腕の中で
日進月歩に
重みを増して
育ちゆく
温かな
いのち
人生と
言える道は
まだない
透き通った
両の瞳は
お空の
青か
珊瑚の海から
生まれたか
言葉のない
今だからこそ
たくさんの
希望が
泉のように
湧き上がる
世の中の
赤ん坊は
みんな
こんなに
安らかな
眠りを
保って
育つのだ