昨日は久しぶりにコンサートを聴きに行った。こんな時期だからどうしようか、というためらいもあったのだが、音楽会は観客が声を出さないし、コンサートホールは天井の高い広い空間だし、直行直帰ならワクチンも接種したから大丈夫だろう、と判断した。
場所はミューザ川崎。演奏は昭和音大の学生と卒業生のオーケストラ。演目はベートーヴェンの「コリオラン」序曲と交響曲第8番と、ストラヴィンスキーの「火の鳥」、他小品。料金は全席指定でなんとすべて1000円。
学生のオケだし、そこそこのものが聴かれたらそれで良いだろう、ぐらいのつもりでいたが、素晴らしかった。いつものお昼寝をしないで出かけて、15時開演だから、眠らないようにしなきゃな、と思ったのだが、「コリオラン」の始めから、ゆるい音は少しもなく(とかいうようなことを音楽知らずのぼくが書くのも滑稽だが)、さわやかな集中と緊張と力強さと伸びやかさで第8番も終わり、休憩後の後半の、とくに「火の鳥」はさらに素晴らしかった。みんなものすごく上手いが、中でもピッコロと木琴は格別音がクリアできれいだなと思った。
久しぶりに、音楽で豊かな興奮の時をもらった。1000円でこれだけのものが聴かれるのだったら、これから少し学生オケにハマってみるのも良い。11月から12月にかけて音楽大学オーケストラ・フェスティバルというのもあるようだし、ぼくのようなアマは聴く側に回ったほうがずっと豊かかも知れない。
ところで大人数のオケだけれども、彼らはこののちどう進むのだろうか。全員が音楽家の道に進むことができるのだろうか。
彼らのうち何人かは、それぞれの楽器でコンクールに挑むのだろう。そこでは、アスリートと同じに「難易度Hの大技、15.30点!」とかいう世界を体験するだろう。でも、それはそれとして、何十人が現在という時間を共有して、一つの管弦楽曲を美しく響かせるために集中する、ということは同等以上に素晴らしいことだろう、と思う。たとえ音楽の道に進まなくても、それは最高に貴重な体験に違いない。ぼくは、アスリートよりもこっちに関心があるかな。
ミューザ川崎は螺旋形にゆったりと空間配置がしてあって、心地良いホールだ。席を離れると、戻るときにちょっと迷うが(笑)。