東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

東京大学工学部原子力工学科の1期生

2013年04月30日 | インポート

Photo
 東京でオリンピックが開催された1964年、東京大学工学部原子力工学科の1期生が卒業した。同期生の一人、安斎育郎さんに、2011年4月15日に東京で同期会をやる案内がきた。安斎さんは、「3月末時点でなお見定めのつかない福島原発事故の実態に照らして『楽しく語らう気にはなれない』旨を伝え、会を延期するよう提案するとともに、『皆さん、事故収拾に知恵を貸して下さい』と訴えた。その理由は、『(皆さんは)保安院や政府に対しても私などよりずっと影響力があり、チャンネルもお持ちだろうと思うからです。私は政策批判の側に身を置いたので、所詮は犬の遠吠えのようなことしか出来ません。それはそれで続けるつもりですが、皆さんのお力でこの国の災厄を解決するために可能なチャンネルを活用して思うところをご提起いただきたく、不遜にも呼びかけた次第』と説明」した。
 やがて、原子力安全委員会委員長代理を務めた同期生から、原子力政策に関わってきた重要な人々16名の名において、3月30日付で政府に『福島原発事故についての緊急建言』を提出したことが伝えられた。原子力安全委員長、日本原子力学会会長、放射線影響研究所理事長などを経験した錚々たる面々である。その「建言」は、「原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。」ではじまり、「特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。」として、次のように結んでいる。「私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。」この16名の中には、現在、原子力規制委員会委員長の田中俊一さんも含まれてる。原子力推進の中心にいた人々には、少なくとも、この「建言」の精神だけは守ってほしい。
        (ヨモギ