東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

都市伝説「モモタロウ」

2012年05月25日 | インポート

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 不確実な世界と人々の不安を反映して都市伝説が広まっている。他愛のないもの(学校の怪談)から、放っておけない(チェーンメール)まで様々だが、伝説には発信する人と意図がある。昔話も同様で、桃太郎伝説の起源を追った「桃太郎と太閤さん(前田晴人、新人物往来社)」は興味深い。
 桃太郎伝説は、江戸時代に秀吉に仕え、島津(薩摩)を平定して熊本を領土とした細川幽斎が創作した話という説。

 天皇制と桃太郎(=秀吉)と鬼(朝鮮侵略等)を結びつけた興味深い論説。家康の二男・秀康が建てた気比神宮(福井)の桃太郎像から、吉備津宮(岡山)の異なる鬼退治(賀陽-伽耶氏と犬養部)の伝説と黍団子を結びつけ、桃太郎の家来になった申・酉・戌は西方を指すなど桃太郎伝説が民間伝承でないことを立証している。古代史の専門家らしく古代大王の権力成立から武士の時代、象徴天皇の起源にも通じる論考だった。いま、新たな侵略の政治的・思想的柱として、桃太郎の再来を人々が望んでいるようで恐ろしい。

                                                                                        (シャガ)


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1 コメント

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この話を読んで、牛若丸と武蔵坊弁慶の話を思い出... (kenken)
2012-06-08 09:37:54
この話を読んで、牛若丸と武蔵坊弁慶の話を思い出しました。ある雑誌に、世間で知られているのとは全く逆の「悪魔と契約を交わして、1000人切りの誓いを立てた殺人鬼牛若丸を、勇敢な武蔵坊弁慶が、五条の橋で戦ってこらしめた。」という話が掲載されていました。
これによれば、一般的な牛若伝説は、平家物語の成立よりもずっと後の「義経記」から、始まっていて、実在の人物を基にしたフィクションだということです。
面白いのは、こうした世間一般によく知られた歴史的人物の実在に疑問を投げかけ、「抹殺博士」とあだ名された、歴史学者の一団が明治の初期にいたということです。
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