東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

パソコン植民地化

2012年06月15日 | インポート

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 昨日、東京教育文化研究所(東京教研)の総会が開催された。その年報「ともにあゆむ」には、研究所長の池田賢市さん(中央大学教授)の「パソコンの現状肯定的機能から脱する」と題した論文が掲載されている。
 論文は、学校のICT(Information and Communication Technology・情報通信技術 ) 導入が急速に進んでいることに警鐘を鳴らしている。
 「ICTは、圧倒的な『便利さ』によって、現状への疑問符を消し去る魔力を発揮する。」その結果、子どもたちは圧倒的な情報量の中で、情報を吟味し、比較し、自分の体験や現実と照らし合わせるプロセスを経ずに、パソコンで得られた情報を「正解」にしてしまう。これを、池田さんは、《パソコン植民地化》と呼んでいる。すでに、大学生のレポートの多くに、この傾向がみられると言う。

 池田さんは、「本当の意味での解放をめざす教育は…知識の容れ物としての人間ではなく、世界とのかかわりのうちに問題の解決を模索するようなものであるべきだ」(パウロ・フレイレ「新訳 被抑圧者の教育学」)を引用して、今の教育現場は、「その『容れ物』を満たそうと必死になっているのではないか。」と結んでいる。

 新学習指導要領完全実施で、子どもを知識の容器にしている現状を、多くの教職員も心を痛めている。
「ともにあゆむ」の購読、問い合わせは、東京教研(03-5276-1306)まで。

                  (オカトラノオ)


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2 コメント

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 「便利さの追求」といえば、ミヒャエル・エンデ... (kenken)
2012-06-19 14:45:05
 「便利さの追求」といえば、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い出した。「無駄な時間を節約して、時間銀行に預ければ、幸せになる」という言葉にのせられた大人たち。しかし、幸せになるどころか「時間を節約することが自己目的化」してしまうのだった。
 まさか、コンピューターがここまで一般化するとはエンデも考えていなかったかもしれないが、「モモ」は、必読書の一つではないだろうか?大人にとっても、大学生にとっても。
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あの有名私立の灘高校で国語を教えていた橋本武さ... (kenken)
2012-06-27 10:59:44
あの有名私立の灘高校で国語を教えていた橋本武さんが、「〈銀の匙〉の国語授業」という本(岩波ジュニア新書)を出しています。
その「はじめに」にこんな言葉がありました。
『銀の匙』の授業は(中略)中学3年間をかけて、横道に入り込みながら、ゆっくり読む。授業では毎回、ガリ版でプリントを準備して、自分が調べた過程を生徒にも経験してもらうようにしました。早急に答えを求めてはいけない。すぐに役立つものはすぐに役立たなくなります。」
ガリ版という懐かしい言葉とともに、すぐに役立つ=すぐに役立たなくなるものを追い求めている自分を「とりあえず(?)」反省しよう!と思った。
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