東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

危険な逆走

2014年02月27日 | インポート

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 ニューヨークタイムスが「戦争と平和と法」と題した論説を20日に掲載した。
 論説は、冒頭で安倍首相の解釈改憲を暴挙と断じ、国家主義者である安倍氏は、憲法の平和主義を否定し、同盟国と協力して日本の領土外で攻撃的な活動を可能とするための法律を成立させたがっている。とした上で、

 憲法には「日本国民は…、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と記されている。日本がより広範な役割を果たす前に、憲法の修正がまず必要とされることを、歴代の政権は合意してきた。総理府の内閣法制局は、権力の乱用を防ぐため新しい法律の合憲性を監視する機関だが、これまでこの解釈に同意してきた。
 法制局に立場を反転させるよう圧力をかけるため、安倍氏は8月に通常の手続きを踏まず、法制局長官に部外者の小松一郎を指名した。小松は集団的自衛という考えに同調する外務省官僚であった。 安倍氏の選んだ専門家集団(安保法制懇)は、この問題に対する報告書を4月に発表し、安倍氏を後押しすると見られている。安倍氏は先の国会で、国民は次の選挙で彼に審判を下すこともできると暗に示したが、それは立憲主義の誤った見方である。安倍氏は当然、日本国憲法を修正する動きに出ることもできるはずである。そのための手続きが面倒すぎるとか、国民に受け入れられないといったことは、法の支配を無視する理由にはならない。
 最高裁は日本国憲法の平和主義的な条項について見解を示すことを長らく避けてきた。安倍氏がもし自らの見解を日本の国に押し付けることに固執するのなら、最高裁は安倍氏の解釈を否定して、どんな指導者でも個人の意思で憲法を書き替えることはできないことを明らかにすべきである。

 と結んでいる。実にまっとうな論説ではないか?日本の新聞社の論説委員は何をしているのだろう。
 その小松内閣法制局長官が26日、入院から復帰しての初国会答弁で、前述の安保法制懇の報告書が出たら、それを踏まえて全体的に、従来の憲法解釈そのままでよいのか、改める余地があるのかということを検討すると意欲を示した。
 一方、米議会調査局は、「安倍首相の歴史観は米国人の認識と衝突する危険性がある」と警戒感を露わにしている。
 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。(憲法前文)」を、安倍政権は明らかに逆走している。
  (寒紅梅・小石川植物園)