遠野の森で初雪

３日文化の日は、盛岡のビジネスホテルで朝を迎えた。
前夜に馴染みの店の10周年記念パーティが、同じホテルであり、
二次会後に午前２時過ぎまで痛飲したせいで、ちょっと寝坊した。
それでも、１０時前にはホテルをチェックアウトして、一路遠野を目指した。

遠野の森でムキタケ＆キンタケ狙いのキノコ採りを目論んでいた。
宮守の銘水「稲荷穴」で飲料用の水を確保して、荒川高原方面へ。
峠道の森は、もうすっかりと紅葉し、標高の高いところでは既に落葉していた。
落葉した森は、見通しが良く歩くには楽で良いが、
落ち葉が邪魔をして地面のキノコが探しにくい。

森に踏み入って斜面を登り始めると、時折風が強く吹き、
そのうちに空が暗くなりパラパラと雪が降ってきた。
初雪だ。
たぶん里には降っていないのだろうが、その森で今年初の雪に降られた。
でもその雪もすぐに止んで、雲間から光も差してきた。
いつの間にか風も止んだ。

やがて静まりかえった森を一歩ずつ踏みしめながら歩く時間は、
とても深く豊かな時間に思えた。
ところどころに鹿が草を食べ散らかして掘り起こした跡がある。
ここ数年の鹿の食害は、かなり深刻な状況だと聞く。
早池峰山の高山植物まで鹿の食害で、減少しているらしい。
困ったものだ・・・・

その森も既に誰かがキノコ採りに入った痕跡が残っていたが、
丁寧に稜線の奥まで上ってゆくと・・・・
風倒木や立ち枯れの楢の木にムキタケが程よい大きさに育っていた。
それを背負い篭に三分の一程度収穫し、場所を移動しようと山を下りてゆくと
そこにビニールパイプで小さく整備された湧き水があった。
手ですくって飲んでみると、これがなかなか美味い水だ。
その森で新しい発見をしたことが、何故かとても嬉しかった。

自宅に帰ると先週末に収穫したムキタケをばあさんがおろし和えにしていた。
これが実に柔らかく煮付け、味もなかなか。
これと塩蔵していたワラビのおひたしを肴に焼酎のお湯割を頂いた。
それでまた、その夜も一人で酩酊してしまった。
嗚呼・・・




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