イーハトーブ岩手の水ブログ

岩手の渓流や三陸の海、みちのく奥州の自然にまつわる出来事や話題を伝えます。更にFM岩手「水のラジオ」の情報も掲載。

吉浜の根白漁港 70cm地盤沈下

2011年10月07日 | 被災地から
FM岩手「三陸きぼう海岸」の取材で大船渡の吉浜に行って来た。
養殖漁業を営みながら遊漁船(釣り船)弁天丸の船頭さんでもある
小坪さんから話を聞いてきた。

なんでも・・・
震災前から浜では、刺し網でメガラ(メバル)の大漁が続いていたそうだ。
震災当日も、本来であれば網からメガラを外す作業はお昼頃には終わるのに
あまりの大漁のために岸壁に船をつけて、弁天丸の家族だけでなく
親戚総出でメガラを外していたところ・・・・地震が起きたと言う。

その瞬間、小坪さんの父上が「津波が来るぞ!」と叫んだ。
それから家族、親戚をはじめ浜の人々は高台に逃げる流れと、
船を沖に逃がす流れの二手に分かれたという。

海面には、津波が到達する前からあちこちに渦巻きが出来ていて、
全速力で船を沖に出そうとしてもなかなか前に進まなかったと振りかえる。
父上に「全速力にしろ!」と叫ばれフルスロットルにしたところ、
ようやく船が水をとらえたという。
多くの船は、かろうじて津波を越えたが、中には波に飲まれた船もあったらしい。
・・・・

ご存知の通り、吉浜はチリ地震津波以来、漁師達は高台に家を建ててきた。
平場には田んぼや畑を作ってきたので、最小限の被災にとどまった。
しかし、各漁港はかなりのダメージを受けている。
弁天丸が所属する根白(こんぱく)漁港は、70cmも地盤沈下した。
満潮時にはこの岸壁は完全に水没する。
この日も岸壁から水面まで20cmほどになっていた。

遊漁船・弁天丸には地元の釣具店「かつやま」さんの釣り大会や
胆沢区の小山製麺の高橋政志さんが主催する釣り大会で、
大変お世話になっていた。
震災前、20艘以上あった根白の遊漁船も今は弁天丸を含め4艘しかない。

弁天丸の小坪さんは、6月頃から釣り船を再開しているが、
ウィークデーは漁協の共同作業に参加しなければならず、
釣り船を出せるのは、土日に限られる。
この浜に来ると釣り心がうずくが・・・・もうしばらくの我慢が続く。

とはいえ、土日だけでも船を出せる釣り船があるのだから、
船頭サンたちを支援する上でも、ドンドン釣りに出掛けてほしい。
これからは、それも支援のかたちだろう。
船を失くした仲間達に遠慮して、小坪さんは口には出さなかったが、
利用してほしいと願っているように感じた。

水温が下がるこれから、カレイ釣りも良くなるだろう、と小坪船頭は
笑顔で話してくれた。
近々、かつやま釣具の勝山さんと一緒に再びこの浜を訪ねたいと思った。

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