創造性の開発 新規商品を企画しよう

新規商品企画の成功学
求むる所第一義
随時随所楽しまざるなし

ガスレーザーと格闘

2017-09-21 04:10:58 | Weblog

 おはようございます。

 CRTスキャナーは開発を取りやめ、私は次にレーザーを実験しました。始めた経緯は忘れましたが、光学実験用の厚い鉄板を実験室に導入し、ヘリウムガスの赤色レーザー発振器を購入しました。10mW程度、輸入代理店の丸文からだったと思います。ホログラムの実験もしました。英語の本やマニュアルを読みながら。

 多分、課長と岩井麟三さんの指示で実験を開始したと思います。レーザーはまだ未熟の技術でした。研究所で実験すべきテーマでした。それが私は嬉しかったのかもしれません。この商品は奇跡的に出荷できました。でも1台限り、後継機無し。失敗した商品でした。革新的な技術を継続商品へ応用することが難しい事例でしょう。本は新規商品の企画ですので、説明はしていません。

 この話は初めての公開です。朝から夜まで1年ほど実験室に入り浸り。暗幕を光学盤の周囲を覆い、レンズやホログラムなどの実験をしました。目が疲れました。1年で1.5が0.8まで、目が悪くなりました。紙面からの反射光を測定する各種の開発段階の太陽電池を実験しました。回転ミラーや振動ミラーの実験装置を設計し、市販の光学系で読み取り実験を何度もしました。ミラーやスリットやレンズも、支持台も全部、市販品を小型化して実験しました。

 光学盤の上の実験では上手く行くようになりました。でも、OCRの実機に搭載するなら30Cm×50Cm×10Cm程度にスキャナー部と読み取り部をさらに小型化する必要がありました。オリンパスが新開発した、小型の1mWのヘリウムガスレーザーを新聞で見つけました。OCRに搭載すしたいと言ったら、カバーを特別設計してくれました。

 用紙送り装置が振動するため、レーザーの支持法に私もオリンパスも苦労しました。安定な機構の設計を知りました。レーザーは埃も嫌いました。埃対策も実験でした。全体を何度も作り変え、やっと実機に搭載できるサイズになりました。

 振動ミラーは振動しない間は平面度が保てていても。振動させると面が歪み、読み取りが行えませんでした。この原因の調査が大変でした。何度も試作し、接着剤が悪さをしていることが分かりました。不純物が蒸発し面につき、膨らんで面が歪んでいたのです。ミラーと振動子を一体化する必要がありました。

 オリンパスのレーザー本体も開発途上。ある日突然、内部電極が放電し、絶縁不良、発信停止になりました。放電の原理や対策も勉強させられました。紙送りの装置の振動周波数でレーザーチューブは共振し、破壊しました。振動に強いレーザーを実験で知りました。

 ガスレーザーに強くなりました。レーザーの専門家を岩井麟三さんが育成したかったのかもしれません。でもこれ以上やったら、もっと目が悪くなったでしょう。1台限りの技術になり、良い経験になりました。

 今日はここまでにします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする