富山マネジメント・アカデミー

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「人口拡大」という言葉の空虚さ

2017年06月22日 | Weblog

TMA講師代表:「人口」動態分析を正確に踏まえないで、「人口拡張」を安易に期待しても願望に終わる。日本の国民国家としての人口は、明治以後の統計で示される。戦後の脅威の経済成長を支えたのは、第2次世界大戦中の兵力消耗を補充する「産めよ増やせよ」の政策と、戦後のベビーブームのお陰である。日本では、普通ではありえない人口ピラミッドができた。その異常な姿が高齢化し、自然に淘汰される時代となった。日本の国民総生産の伸びは鈍化したが、人口減少により、一人当たりの総生産額は逆に上昇に向かう。「人口減」と「個人所得向上」とが上手くかみ合えば、ある時点で均衡にいきつき、そこから自然増が生まれる。だから、人口ピラミッド全体が異常な姿であるから、この歴史的な外れ値を除いて考えるとどうなるのか。つまり、僕を含め、75歳以上の人口は、戦争の後遺症と考え、それを除外すると、やはり第2次ベビーブームの後遺症が幾分か残るが、そうすると、他の国と比較しても、ほぼ正常な人口プラミッドとなる。

女性の高学歴化は、女性の出産率の低下という現象と、女性のビジネス参画により生まれる社会的な富の増加とが、財務諸表にある貸方と借り方とが「均衡」関係に相当する。女性の社会的な貢献は、18歳から75歳までの性別の納税額の経年比較で計算できる。富山県の場合、県民税に限定し、所得割の変動を調べると、女性の高学歴化による社会的な富への貢献の指数がでてくる。企業、団体別の特性も、そこから見えてくる。企業が子育てに寄与しているか、否か、それはマネジメントの課題ではなく、公共政策の問題である。

出産という現象を生物学的に論じ、「人口拡大」という粗い議論と混濁するから、「大衆社会」は迷いに、迷っている。自然減の地区でも、労働賃金が高く経済成長率の高い国への移民の増加があれば、流入人口により増加に転じる。つまり、成長性の高い産業集積があれば、そこに人口増が生じる。若者に選ばれない企業ばかり並んでいては、3年以内にどんどん辞めていく。つまり、企業のトップのマネジメント力こそが、「人口拡大」の原動力である。だから、企業城下町といわれる自治体は、企業と一体化したマネジメントが求められる。男子の論客が、あまり女性に対し、出産を強要するような社会風潮を煽るべきではない。過去の間違いからみて、女性は女性の文化伝承、文化の共有として、しっかりとマネジメントしているのだから。つまり、過去が異常なので、それを基準とする誤った人口論は無意味である。古典的な理論だるが、自然法思想のアダム・スミスの経済指標としての人口移動論は、今でも通用する。

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