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中国共産党は、南京事件の被害者ではない。傍観者だった。

2016年05月28日 | Weblog

TMA講師代表:個人研究「中国共産党は、南京事件の被害者ではない」

アメリカ大統領のヒロシマ訪問にかんし、中国の 王毅 ( ワンイー ) 外相は27日、記者団に対し、「広島は注目を払うに値するが、南京は更に忘れるべきではない」と述べたそうだ。 解説によると、旧日本軍によるいわゆる「南京事件」を指す発言とみられ、日本が「戦争加害者」であることを改めて印象づける狙いがあるようだ。王氏は「被害者は同情に値するが、加害者は永遠に自分の責任を回避することはできない」とも述べた。

歴史家として、重要な指摘をしておきたい。それは、中国共産党は、南京事件の被害者ではなく、漁夫の利をえた傍観者であったことだ。当時、中国国民党と中国共産党は、西安事件を契機に、第2次国共合作に入り、盧溝橋事件の段階では、中国国民党と中国共産党とは、基本的に和解していた。そのため、国民党蒋介石政府は、日本軍の南京占領を予想して、南京の監獄から、中国共産党の党員、支持者の政治犯を釈放し、中国共産党の周恩来に引き渡していた。

日本軍の南京占領において、一番に厄介な占領地の統治問題は、刑事犯を収容する監獄の処置である。中国国民党は、日本軍の南京占領に備え、長江の上流の都市、武漢に移転を済ませていた。中国共産党も武漢に連絡事務所を開き、抗日戦争を国民党と協力して遂行する準備を整えていた。

従って、南京市民の無差別、大量虐殺を意味する南京大虐殺事件が存在したならば、当時、武漢の中国国民党や、中国共産党の機関紙において、「大虐殺」の報道が行われていて当然である。しかし、限られた調査ではあるが、同時代、同時期の政党機関紙には、決定的な報道記事や、政党の声明文はない。ただ、蒋介石政府は、30万人の将兵の死傷があった、と声明した。むろん、日本軍の兵士による蛮行は、情報として伝えられている。

蒋介石軍は、南京市民の防衛に果敢であったため、日本軍は苦戦する。やがて、国民党軍は、南京城の長江に面した渡し場から船舶で武漢に逃亡しようとした。こレに対し、軍民に無差別の集中砲撃を加えたのは、日本海軍である。逃亡の必要のない南京城内の住民は、そこには含まれていないと思われる。また、陸軍は南京の監獄に収監された服役囚人を殺傷処分した。その監獄の跡地に建てられたのが、南京大虐殺記念館である。ここには、誰も否定できない虐殺が存在した。また、補給線が続かない日本軍では、一部の兵士に略奪・暴行を制する規律が欠けていた。明らかに蛮行は証明されている。

しかし、私は歴史研究のため、南京を訪問し、「30万人虐殺」という表現は、「政治の作為」という証言を得ている。その後、上海図書館で、30万人虐殺説の根拠とされるスマイス報告への疑問と批判を述べたビーツ報告を発見し、「日中戦争を読む」という著書に原文を収録している。少なうとも、中国共産党は南京事件の被害者ではない、これは史実である。王毅 ( ワンイー ) 外相が、核爆弾のもつ無差別殺人がもつ人類史における意味と、「南京大虐殺」シナリオを対置させた時点で「狂気」を感じる。中国共産党が、核兵器無き世界へ導く大国、強国の度量がないからである。周恩来の思想を学びなおしてほしい。「周恩来伝」の日本側の訳者の一人として、王毅 ( ワンイー ) 外相の不勉強を嗤いたい。

日中の友好は、周恩来への日本人の敬愛から生まれている。王毅 ( ワンイー ) 外相は、周恩来の度量、勇気を備えていない。蒋介石も周恩来も、孔子・孟子に基礎教養があった。王毅 ( ワンイー ) 外相には、孔子、孟子がなく、荀子と孫子がある。謀略的な南京事件の利用は、最後に歴史家はそれを暴くことになる。それに反し、オバマ大統領は、歴史の真実にあくまでも忠実である。原爆被害者の目線で、22世紀の世界を考えた指導者として、アメリカという国家の尊厳を理性的に表現した。世界は、中国共産党の「今」を選ばない。

彼らの「今」の歴史観には正義も人道もない。周恩来の時代には、それがあった。周恩来は、武漢で南京での日本軍の蛮行を風聞しているが、「30万人の市民の虐殺」という認識で、抗日戦争のための政治宣伝を行っていない。「演劇」という形で、抗日戦争への中国民衆の啓蒙に力を入れていた。蒋介石も、「市民30万の虐殺」とは述べていない。「将兵30万人の死傷」と述べている。無論、南京監獄の囚人に対する占領地行政を誤った日本軍には大罪はある。

 

 

 

 

 


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