TMA講師代表:個人研究
関東大震災において、江戸時代を底辺で支えた町人の律儀な社会道徳感が失われ、さらに、移民労働力である朝鮮族を迫害する「日本国民」が登場する。この関東大震災の復興過程で、財政、金融の政策を間違えたことが、日本の歴史の異常化の始まりだった。世界的には、第一次世界大戦の戦後恐慌をいかに克服するのか?この命題に正確な答えを導いていたのは、上海に在住していたアメリカ人である。彼らが孫文を動かし、上海の銀行界を動かし、アメリカ政府が緊縮財政をとるのを批判し、中国市場への投資が、世界恐慌を回避できると考えた。当時、世界には、金融の中心都市は、ロンドン、ニューヨーク、そして上海の3都市があった。東京は、第4位か、第5位か、上位3位ではなかった。それが、関東大震災により、銀行経営は、さらに困難になった。その時、財政の均衡を目指しすぎて、1929年恐慌の波をうけた。日本は、必死に金ゴールドの塊を正式な国際通貨と考え、世界の本位制の廃止の流れに乗り遅れた。ケインズ経済学の導入が極めて遅れた。
日本の国力の崩壊は、地震とその後の金融財政の理論的な瓦解による。そして、タイミングを間違え、古典的な帝国主義の領土拡張に活路をみる戦時経済体制へと国債を増発し、破滅に向かった。ここで、異常な戦争遂行のため、昭和16、17年のベビー・ブームの先駆けがおこり、そして敗戦後、さらに異常な人口増が起こった。
日本が外国に占領されるという異常な敗戦により、基本が無茶苦茶な、国民教育が行われた。スキをみて、他人の食べ物を奪わないと餓死する、という恐怖におびえた時代だった。江戸時代に養われた日本人の律儀な社会道徳は、一気に瓦解した。それでも、子供だけは大事にするという社会慣行が救いだった。日本に人口構成が異常になり、その余剰な労働力をうまく生かした大量生産の工業化社会のお陰で食いつないだ。だが、団塊の世代は、IT情報化になかで、社会のお荷物となりはじめた。巨大な年金受給者という「国民的な負債」は、今後の生産労働人口に委ねられている。
僕もそうだが、この年金受給者が異常に多い時期は、2016年を起点とすると、24年後には、1945年から1950年に生まれた世代は、100歳を超える。そうなると、ようやく1930年からの異常な「人口の塊が生んだ資産と、同時に、積みあがった負債」が消える。これからの24年、日本人がどこまで賢く生きられるのか、それは、全ての次元で「経営学を学び、活かし、経営学の言葉で語る文化」が必要である。
皇室、憲法、議会、大学院、病院、地方自治体、・・・家計、個人の小遣いに至るまで、経営の哲学と経営の情報、経営の技法に長けることである。どうやら、そういう方向へと日本全体は動いている。