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今日の筆洗

2023年06月23日 | Weblog
障害があり電動車いすで生活するコラムニスト伊是名(いぜな)夏子さん(41)は沖縄出身。例年今ごろまで一カ月余続く沖縄の梅雨期を過ごすと、戦時にいるかのような感覚に襲われると以前に書いていた。一九四五年三月の米軍の慶良間諸島上陸で始まる沖縄戦は梅雨期、凄惨(せいさん)を極めた。戦後生まれの伊是名さんも雨中を逃げた人の体験記に接した▼沖縄県史収録の戦争証言を読むとたしかに、雨の描写は多い。家を焼かれ転々とした人は「連日雨が降り身体はびしょぬれでふくれてさえいました」。ある人は雨に打たれながら、兵らの多数の遺体をまたいで道を歩いた▼今日は沖縄の「慰霊の日」。七十八年前、旧日本軍の組織的戦闘が終わったとされる。沖縄の梅雨明けは例年六月二十一日ごろ。今年も間もなくらしい▼米軍基地の集中は続き、沖縄の負担軽減の願いはかなっていない。近隣が舞台となる「台湾有事」なる物騒な言葉は実際に起きるかはともかく、世に定着した感もある。雨中に散った人らの魂は今、安らかだろうか▼伊是名さんは五歳のころ、戦争中に爆弾を落とす飛行機の映像を見て怖くなり、飛行機の音がするたびに泣いたという。「沖縄は旅客機だけでなく、米軍機もよく飛ぶので、一時期は相当泣いていた」▼そんな子は、今もいる気がする。毎年の梅雨と違って、あって当たり前にしてはいけないものはある。
 
 

 


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