包丁のトギノン ブログ

トギノン販売有限会社 包丁の製造販売店のブログです

刃角と刃厚

2008-09-16 | 包丁の切れ味考察
-刃角と刃厚-

実は一般的に包丁の刃角は重要視されない人が多いんです。
それは一般的使用者の関心は「切れる」か「切れない」かだからだ。
しかし、包丁というのは、細工用から牛刀、出刃、柳刃、薄刃、中華包丁など用途に特化した形状が存在します。
なぜか?
それは、それぞれ使用目的・好みにあう「刃角」や「形状」が必要かつ最適だからである。
今日は刃角・刃厚について述べたいと思います。

基本的に薄切りに優れた包丁は刃角が鋭く、厚切り(硬い物)に優れた包丁は刃角が鈍角になる。
極端な例を挙げると...
薄切り → カミソリ
厚切り → ナタ
という具合になります。
カミソリは毛などを剃り落とすために刃角と刃厚を鋭く薄くする。(鋭く薄くないと毛は剃れない)
ナタは枝や硬い木を落とす為に刃角を鈍に刃厚を厚く作られる。(硬い物を切るために刃かけや折れを起こさないよう鈍角・刃厚に)

上記からも想像できるが、刃角と同じく刃厚も需要なのは、取り回しの良さや刃物の自重による切断能力を左右するためだ。
また、刃角が鋭いと切れ味は良いが刃持ちが悪く、鈍角だと切れ味自体はそこそこで刃持ちが良くなる。

もちろん、これ以外にも切れ味の要素はある。
材料、焼き入れ加工などなど。これらを考慮することである程度は鈍角な刃物でも鋭く切れたり、鋭い刃角でも刃持ちを良くしたりする事が可能です。
でも、基本的に上記のように理解していただいても間違いありません。

作り手としましてはそれらの項目を総合判断して適している材料・加工方法等をチョイスして包丁などの刃物を創り上げるのです。
そこが悩みどころで、腕の見せ所なんでしょうが...。
私は昨今、食文化が変遷してきており従来通りの製造方法が全て適しているとは言えないんじゃないだろうか。新たな需要や使用環境・方法があるのでは...なんて悩んだりもします。
ですから、お客様に喜ばれる包丁を創り上げられるよう邁進している日々の連続です。
私どもは製造販売を行っている刃物会社です。
こんな包丁があったらな、なんてご意見がございましたら
support@toginon.com
まで、ご相談またはご一報下さいませ。ご希望に添える商品の提供が出来るかもしれませんよ。

最後に...用途に合った包丁を選び、正しい使用方法でお使いいただければ、お料理が楽しくなりますよ。

写真は骨切りナタ(クレバー)と細工用ペテー大の刃厚比較です。
はねきりナタは片刃なので刃角が鋭く見えますが、刃厚は一目瞭然ですね。