包丁のトギノン ブログ

トギノン販売有限会社 包丁の製造販売店のブログです

中華包丁について2

2015-12-28 | 道具のありかた
中華包丁について2

今年も残り僅かとなりました。
皆さんにとって今年はどんな年でしたか?
私はちょっと体を壊して人生で2度目の入院を経験しました。
今はすっかり良くなりましたが、体には気をつけたいと思います。

それでは、中華包丁2のお話です。
前回、中華包丁の違いについて代表的な形状の違いをお伝えしました。
標準型の「角型」、異型の「鎌型」「剣型」など。
それらの違いのほか様々な仕様がありますのでお伝えしたいと思います。

まず、材料の違い。
主に3パターンあります。
1.全鋼(刀身すべて日本鋼で作られたもの)
2.ステンレス鋼(刀身すべて炭素含有率の高いステンレス鋼で作られたもの)
3.割り込み材(炭素含有率の高い日本鋼・ステンレス鋼を炭素含有率の低い軟鉄などでサンドした3層鋼以上のもの。ダマスカスなどもこの部類に入る)

切れ味重視、錆にくいもの、粘り重視、刃欠けしにくいもの、など目的によってチョイスが変ってきます。
まあ、このあたりは通常の包丁と選択方法がさほど変りません。

次に刃の造りについて。
実は中華包丁にも「薄切用」「中厚用」「厚切用」などがあります。
実際にはどのように仕分けられているのでしょうか?
幾つかありますので順を追って説明します。

まず、刃材料の厚み。
刃先の鋭さや角度だけでなく、刀身のミネに注目してください。
例えば...「薄切用」は2mmだったとしたら、「中厚用」は2.5mmとかになっています。
たった0.5ミリですが、食材を切った時に通常の包丁より面圧の高い中華包丁ではダンチの違いとなってきます。
切れなくは無いのですが、抵抗が違うので調理の作業効率や仕上がりに差が出ます。


さらに、「薄切用」などのスライスに特化した物には「リブ」(ディンプルなどとも呼ばれる)が加工されたものがあります。
これらは切った食材が表面張力などでへばりつきやすい中華包丁には必要なものと考えられています。
食材との接地面積を下げたり空気が入り込みやすいよう加工がされています。
そうです、脂身の乗った柔らかいサーモンの身を切る時に特化された「サーモンスライサー」のような仕上げが施されているんです。


まだまだありますが、次回中華包丁について3でお伝えしたいと思います。

それでは、良いお年を。