包丁のトギノン ブログ

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包丁が切れると良いことって...

2008-12-10 | 包丁の切れ味考察
包丁が切れると良いことって...

今回は庖丁が切れると良いことは何かを考察します。
包丁が切れる??
当たり前のことに思えますが、「切れる」という定義には皆様各自、巾がありますね。
それはさておき、切れると良いことを上げてみましょう。

1.気分が良くなる。
ストレス無く思い通りに切れ、素早く料理が出来るから気分が良くなりますよね。

2.切断面が綺麗に仕上がる。
特に和食料理には欠かせません。それは、和食料理には生食が多いから。
刺身や飾り付けに使う細工加工、特に割烹料理や寿司などは切断面などにも飾り付けを気遣う和食ならでは。このこだわりを活かすために必要ですよね。
そういえば、魚介類の活き作りなどは包丁の切れ味と手際の良さが求められますね。
こういった食文化による切れ味の求め方はまさに日本ならでは。外国の料理はそこまで包丁の切れ味を求めてないです。外国は一般的に水が良くないせいか、煮たり焼いたりの料理が多いからかもしれませんね。

3.火が通りやすく、味がしみやすく、型くずれしにくい。 
なんと、切れる包丁で料理をすると、火が通りやすく、味がしみやすく、型くずれしにくいんですよ。
なぜか?
切断面が綺麗なのは、食物の繊維質や細胞組織を潰していないから。
皆さんご承知のように食物といえど、繊維質や細胞があります。
この繊維質や細胞を潰していないからこそ、組織の管を通るので無駄に火にかけなくても熱が通りやすく、調味料を減らしても味がしみやすくなるんです。だから、焼いたり煮込んだりしても型くずれしにくくなるのです。
  
繊維質や細胞は細胞膜やストロー管を束ねたような形状をしています。

これが切れる包丁と、切れない包丁ではこの様なイメージ図になります。
図1は切れる包丁のもの
図2は切れない包丁のもの




もう、おわかりのように切り口が潰れていると繊維や組織の管に味が行き届きにくく、芯まで火も通りにくい。そして型くずれを起こしやすくなる。
切れ味による繊維質や細胞の事は、生花(いけばな)などを例に挙げるとよく理解できます。
思い浮かべて下さい。生花の切り口が悪いとすぐ繊維や組織が潰れやけどのようになり、水を上手く吸い上げられなくて枯れてしまいますが、鋭い切り口だと何日も持ちますよね。
 
大袈裟に言うと、切れる包丁は切れない包丁より
1.火にかける時間の短縮(省エネ?型くずれしにくい)
2.無駄に味が濃くなくなる(減塩などの効果によりヘルシー?)
3.食品の切断面の鮮度が落ちにくい(見た目も鮮度も良くなり長持ちする?)
 などの効果が期待できますよ。少し言い過ぎかもしれませんが...。
 
4.実は手を切らない。
実は、切れる包丁は無駄に力を必要としないので切れない包丁に比べ手を切りにくいんですよ。
切れない包丁は、力を入れてゆくと、ある程度圧力がかかった瞬間に突然滑ったりひかかったりします。そして結果、切りすぎてしまって手を切るのです。
切れる包丁は無駄に力を必要としないので、刃の食い込み方が一定で、コントロールしやすい。思い通りに切っているので、手を切ってしまうミスが少なくなります。

仮に手を切ってしまっても、切れる包丁は細胞組織が潰れていないので治りが早いです。医療用のメスなどが切れ味を求めるのは、単に綺麗に切るためだけではなく治りも早いからなんですよ。
カミソリのような切れ味のメスとノコギリの様なメス...どちらが早く綺麗になおかつ痛くなく切れるのか、治りが早いのか?想像に難しくありませんよね。

5.食材が美味しく感じる切れる包丁は切断面が鋭いので、舌触りが良くなります。
実はこれ、あまり知られていないのですが...
ニンジンやキュウリなどの野菜、刺身や肉、切れない包丁と切れる包丁で切った物を食べ比べて下さい。
切れる包丁で切った方は滑らかにつるつるしていますが、切れない包丁の物はざらついています。
まるで、鮮度が違う物になるのです。
先ほどの生花のお話でもあるように、接ぎ木などをする場合は切り口を綺麗にする必要があります。
切り口が綺麗だと接ぎ木はうまくいきますが、汚いと枯れてしまいます。
これは、生きているという証です。
だから、包丁が切れると鮮度が落ちにくいと言えます。だから、舌触りが良くなるんですよ。

まあ、切れる包丁の良いところというのはこんな感じです。
他にも要点はあるかと思いますが、思いついた物だけ書きました。
少しでも参考になれば幸いです。


最後に。
もう師走ですね。昔は師走になると新年を迎えるにあたって新しい包丁を用意したり、1年間の錆落としなどといって研いだりしたそうです。
この機会に貴方もご家庭の包丁の切れ味をチェックしてみてはいかがですか?