包丁のトギノン ブログ

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ローズウッド代替材料について

2018-05-08 | 包丁について(総合)
ローズウッド代替材料について

以前、お伝えしたように木材の規制が入りまして一部の木材の入手が困難になっているとお伝えしました。
我々包丁業界も木材は包丁のハンドル(柄)などに使用しており安定した供給が受けられない木材は使用が難しく困っておりました。
代替材料を色々と探してはみましたが、これといって良いものが見つからなく困っていました。

もう、7~8年前になるかと思いますがトギノンのデザイナーロバートとコラボして製作したナイフがあります。

そこでハンドル材に使用したのが「KEBONY」:ケボニーでした。
当時は斬新な材料で、我々も半信半疑で使用した材料ですが、素晴らしい特性を持っており環境にも優しいNEW WOODでした。
以下に特徴を記します。

1980年代から90年代にかけて、カナダのNEW BRUNSWICK大学のDR.MARK H. SCHNEIDERによる発明と研究からスタートしました。
そして、1996年オスローにあるNORWIEGIAN AGRICULTURAL UNIVERSITYに於いて博士が講演をしたことをきっかけに1997年にノルウェーの地で博士の発明を事業化するためにKEBONY社が設立されました。2004年パイロットプラントでの生産が開始され、2008年には生産能力年間2万立米のプラントが完成し、本格的な営業活動が開始されました。

KEBONYとはソフトウッドをハードウッドにする技術を言います。成長の早い森林から計画的に伐採されたソフトウッドの細胞組成に働きかけ性質を変化させます。木材は茶褐色化、比重が高まり、寸法が安定し、硬化すると同時に耐腐朽性が飛躍的に向上します。国産杉、檜でも試験後同等の性能変化が確認されています。

直接、口に入れても安心安全でオーガニックな加工木材
一般的な木材の耐久性を上げる「加工技術」の多くは化学物質や重金属を使用しています。KEBONYは素材、生産、使用、廃棄の全ての工程において有毒・有害な物質を使用していません。その証として世界一を受賞したことのあるコペンハーゲンのレストランNOMAでは、直接口に付けるカトラリーにKEBONY材でできた製品を採用しています。

美しい表情を変化させながらメンテナンスフリーな素材
KEBONYは、他のハードウッドと同じように屋外で使用すると経年変化により、ダークブラウンからプラチナシルバーグレイへと表情を変化させてゆきます。一方、木材自体の耐久性は高く数多くの試験でも一番高い耐久性能が確認されています。通常使用において特別なメンテナンスは必要ありません。もちろん通常の木材と同様に塗装、接着もできます。

環境先進地「北欧」で厳しい基準のエコラベルの認証を受けています。
北欧エコラベルの審査基準
・重金属をふくまないこと
・殺虫成分を含む薬品を使用しないこと
・持続可能な生産体制がととのっていること
・耐久性が高いこと
・寿命を終え廃棄するときに問題がないこと


とまあ、いいことずくめ!
欠点は...かなりコストが高いことですね。
でも、優れた特性ですから付加価値としてはいたしかたないことかもしれませんが。
数年前はコストと費用対効果的に厳しかったのですが、ここ数年ローズウッドは高騰し品質も数量も安定供給されないのでケボニーを使うことが考慮されるようになってきました。

弊社のトギノン エコフレンドリーはコペンハーゲンのデザインアワードINDEXでTOPノミネートを受賞した経緯があります。
そこでデザイナーのロバートがケボニーに出会い我々にケボニーを使用することを進めたことも何かの縁なのかもしれません。
今すぐではありませんが、ローズウッドの代替材としてケボニーを使用することとなると思います。
材料ストックはすでに手元にありますので、近いうちにケボニーハンドルの包丁やナイフを市場にお届けできる日がくるかと思います。

それではまた。