米独占禁止当局は、医療保険大手アンセムによる480億ドルでの同業シグナ買収合意について非公式に懸念を示し、両社が業界での競争を完全に維持する譲歩案を提示できるか懐疑的にみている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
*アンセムとシグナの加入者数は単純合計で約5300万人で、最大手ユナイテッドヘルス・グループを抜く。
* 今月初旬にも医療保険3位エトナが4位ヒューマナを約370億ドルで買収することで合意したと発表した。買収が実現すれば、米国の医療保険業界は「ユナイテッドヘルス・グループ」「アンセム&シグナ」「エトナ&ヒューマナ」の三大グループに集約される。売上高では首位を守る見通しのユナイテッドヘルスも、合併相手を探している。
関係筋によると、両社と司法省の代表のほか、十数州の司法長官らが10日、ワシントンで会合を持ったが、その席で米政府当局者らは両社の合併を懸念する概要を伝えたという。
企業の合併は、一部資産の売却を提案したり、一部業務の制限に同意したりすることで当局の承認を得られる場合もあるが、政府当局者らは今回、アンセムとシグナが満足のいく解決策を提示できないのではないかと考えていると両社に告げた。
アンセムとシグナは今後、司法省高官との会合を予定しており、両社の合併はなぜ競争を阻害することがないかについて言い分を述べる機会が与えられる。関係者の一部によれば、司法省は合併阻止に向けて提訴するかどうかまだ決めていないという。
アンセムの広報担当者は「高品質で低価格の医療サービスを消費者が利用しやすくするための両社の合併について、司法省や州規制当局と話し合いを続けている。こうした状況であるため、協議していることについてコメントするのは不適切だ」と述べた。司法省の報道官とシグナの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
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