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NEC、中国企業から、電力会社向け、米蓄電池事業を買収、100億円、

2014年03月26日 09時01分00秒 | thinklive


 NECは24日、中国の自動車部品大手、万向集団(浙江省)から電力会社向けの大容量蓄電システム事業を買収すると発表した。買収額は1億ドル(約100億円)。欧米を中心に新規参入の電力会社など再生可能エネルギーを採用する企業が増えており、電力の安定供給を担う蓄電システムの需要拡大を見込む。消費者向けから社会インフラ関連へ経営の重点をシフトする戦略の一環だ。

 NECが6月に買収するのは、万向集団グループ傘下の米A123システムズがもつ大型蓄電池や蓄電システム事業。米国や欧州、中国など世界の電力会社に販売しており、同事業の2013年の売上高は3200万ドル(約32億円)。開発投資が先行して営業利益は赤字だが、販売拡大で早期に利益確保を目指す。

 NECはこれまで家庭用や電気自動車向けなど小型の蓄電システム事業を手掛けており、売上高は14年3月期で335億円の見通し。今回の買収で新たに大型蓄電の事業を手にする。まずは買収先の北米の販路を中心に事業を拡大。大型蓄電システム事業のみで、20年3月期までに売上高1000億円を目指す。

 米リチウムイオン電池ベンチャーのA123システムズは経営破綻し、12年に米国で競売にかけられ、万向集団が落札した。NECも入札したが競り負けた。今回は電気自動車向けの電池事業以外の大型蓄電事業を譲り受けた。

 米国の一部の州では電力会社が再生可能エネルギーを導入することが義務化された。オランダやドイツなど欧州では風力発電や太陽光発電の採用が広がっている。発電所向けなどの大型蓄電システムは家庭用の小型蓄電システムの400世帯分の大きさ。一般に風力や太陽光などは気候の変動に電力供給が左右されやすい。余剰電力をためておき、不足するときに供給を増やす設備として、リチウムイオン電池などの蓄電システムが効果的とされる。

 NECによると、大型蓄電システムの20年の世界の市場規模は15年の3倍の6000億円になると予想する。矢野経済研究所は日本国内の大小合わせた蓄電池全体の将来の需要について、容量計算で20年に12年の16倍の1万1500メガワットに到達すると予測している。

 NECはインターネット接続事業者のNECビッグローブの売却のほかスマートフォン事業から撤退するなど消費者向けの事業を縮小している。一方でIT(情報技術)を使った社会インフラ事業を軸に海外展開を加速する。

 



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