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22976、丸紅のガビロン買収の大きな余波、丸紅の穀物人材、ヒッコヌキ!

2013年11月10日 21時11分40秒 | thinklive

中国の穀物需要が拡大しているのは、食料のセキュリティ(安全保障)に懸念を募らせる中国政府が、穀物の備蓄を増やしているためだ。

*今回、丸紅が買収に成功したガビロンは、正確には準メジャーであるが、例えば、米国における穀物保管能力は、ADM(1040万トン)、カーギル(900万トン)に次いで(830万トン)を扱う米国3位の穀物商社だ。今回の買収で、丸紅+ガビロン連合で一挙に950万トンを扱う米国2位の“巨人”に躍り出た。今後、新しく丸紅+ガビロン連合が、穀物メジャーとして、6社プレーヤーの一角を担うことになる。

北米に実物資産を持っていないアジアの穀物商社は今月、中国の需要拡大に応えるうえで、潜在的なパートナーをまた一つ失った。JA全農が、米最大の農業組合であるCHSと、合弁事業を立ち上げたからだ。

これをきっかけに、未上場の欧州系穀物メジャー、ルイ・ドレイファスが身売りなど何らかの取引を行うのではないかとの観測が広がった。

<アジアに強い丸紅、北米で巨大な集荷力持つガビロン>

丸紅のガビロン買収がアジア勢にとって脅威なのは、ガビロンが米国で3番目に大きい穀物倉庫やインフラのネットワークを持っているため。ガビロンは今後、穀物の多くを新オーナーの丸紅に回す見通しだ。

4大穀物メジャー「ABCD(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、バンジ、カーギル、ルイ・ドレイファス)」にとっても、脅威とならないわけではない。丸紅はもともと世界で強力なプレゼンスを持つが、今回の買収によって、ガビロンの集荷網の要である米中西部からトウモロコシや大豆を集荷する新たな力を手に入れることになる。

米国の輸出入情報データベースPIERSを使ってロイターが分析したところによると、丸紅とガビロンは2011年、合わせて940万トンのトウモロコシ、大豆、小麦を輸出しており、このうちガビロンの輸出分は120万トン程度にすぎない。ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)は1320万トン、カーギルは1500万トンだ。

ワールド・パースペクティブスのブルーメンソール社長兼最高経営責任者(CEO)は「アジアへのアクセスに強い丸紅と、巨大な集荷力を誇るガビロンとは一緒になれば、効率性が一段と高まる」と指摘する。   

 穀物ビジネスの世界で、“ボリス”というあだ名で呼ばれ、穀物マフィアの連中に一目置かれている男がいる。丸紅の穀物部隊を率いて、ガビロン買収を完遂させた常務取締役の岡田大介である。「この10年あまりで、丸紅の穀物部隊は様変わりした」と、岡田はいう。岡田の明るい性格は“商社マン”そのものだが、その思考は常に戦略的だ。

 例えば、岡田は、ライバル会社、東食(現カーギルジャパン)で「穀物の世界を動かす25人」に選ばれた世界的なトレーダー若林哲(現Gavilon Agriculture Investment, Inc. Executive Officer)を引き抜いて、穀物業界をアッといわせもした。

 さらに、穀物ビジネスのカギとなる用船ビジネス(貨物用の船舶を時間で賃借するタイムチャータービジネス)の仕組みに目をつけて、このビジネスモデルをいち早く丸紅に導入したのも岡田である。岡田は、穀物ビジネスの要諦をこう解説する。

 「穀物の売買価格というのは、実は“ガラス張り”の世界なんです。むしろ、穀物の輸送にかかる運賃などが、掴みどころのない世界。逆にいえば、輸送にこそ“利幅”が存在します」

 穀物ビジネスは、時間借りしている船舶をどう効率よく動かせるかにかかっている。ものを単にA地点からB地点に運ぶだけでは、さほどの利益しか生まれない。いい買い手が見つかった瞬間、B地点を目指していた船舶をC地点に差し向け、さらにD地点に向かっていた船舶をB地点に差し向けるといった臨機応変な対応こそが多大な利益をもたらす。

 日本の商社の中でも、丸紅の穀物部隊は、取引量の大きさで、世界に知られている。とはいえ、ガビロン買収まで丸紅は、穀物の「買い手」にすぎなかった。穀物の「売り手」と「買い手」では、取引の有利さが全く違う。岡田は、過去に「売り手でない」悲哀を何度も味わった。

 穀物の市場価格はおおむね決まっているため、売り手の立場であれば、穀物価格が推測でき、いつ売れば“儲かる”かどうかもわかる。しかし、「買い手」の立場だと、売り手から「売り物がない」といわれれば、それまでだ。穀物市場は、完全に「売り手」優位の世界なのである。

 「買いたくても、ものが買えない、売ってもらえない。こんな惨めなことはないですよ。今回ガビロンを買ったことで、今まで買い手の立場だけだったのが、売り手と買い手の両方の立場になれた。これは大きいですよ」(岡田)

丸紅:米ガビロン買収額980億円減少-エネルギー除外で合意

  6月10日(ブルームバーグ):丸紅 は10日、米穀物3位のガビロン買収に関して、エネルギー事業を買収対象から外すことでガビロン株主と合意したと発表した。丸紅はガビロンの穀物と肥料の2事業を買収することになる。買収額は当初予定の36億ドルから26億ドルと、10億ドル(約980億円)の減額となる。
エネルギー事業を買収対象から外した理由について、丸紅広報担当者はコメントを控えている。丸紅はガビロン買収に関して中国競争当局から条件付認可を4月22日付で得ており、現在買収完了に向けて条件履行の施策について同当局と協議中。
大和証券の五百旗頭治郎シニアアナリストはガビロンの持つエネルギー事業は丸紅にとって戦略上合わなかったとして、今回の発表は「ポジティブ」と指摘。重要なのは穀物と肥料事業であり、買収額が当初計画に比べて28%減少したことについて「額は大きい」と述べた。同氏はガビロンのエネルギー事業の利益は全体の15-20%を占めると推測する。
ガビロンのエネルギー事業は北米に約800万バレルの原油在庫施設を持つなど原油や天然ガス、石油製品のトレード事業を展開している。
丸紅は今期(2014年3月期)連結業績でガビロン買収で100億円を超える利益貢献を見込んでいるが、今回エネルギー事業を買収対象から外したことによる業績への影響はないと説明している。  




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