【ニューヨーク=稲井創一】経営統合する米化学大手ダウ・ケミカルとデュポンは11日、統合後の3社分割策について包括的に見直す方針を明らかにした。米メディアによると、両社の株を持つ物言う株主(アクティビスト)から分割企業の競争力に異論が出た。
統合・分割作業が長引くとみて、ダウのアンドリュー・リバリス会長兼最高経営責任者(CEO)の引退時期を今夏から2018年7月1日に延長する人事も発表した。
ダウとデュポンは連名で出した発表文で、統合会社「ダウ・デュポン」を3社に分割する時期や費用削減計画などを再検討する方針を示した。両社は15年12月、統合会社発足後の18カ月以内に農業関連、汎用化学品、高機能化学品の3社に分割・独立させる計画を明らかにしていた。
ただ、アクティビストとして知られるダウ大株主のサード・ポイントとデュポン大株主のトライアン・ファンド・マネジメントが、汎用化学品と高機能化学品に収める事業について、両社の経営陣とは異なった主張をしていたという。
11日、ダウは実力者のリバリス氏がダウ・デュポンの執行会長を統合作業が完了する17年8~9月から18年4月1日まで務め、その後は18年7月1日まで取締役会長を担う人事を発表した。
ダウの筆頭社外取締役であるジェフ・フェティング氏(米家電大手ワールプールCEO)は今夏としていたリバリス氏の引退時期の延期について「統合と分離を確実に進めるには指導体制を継続するのがベスト」と発表文でコメントした。
ダウのリバリス氏とサード・ポイントを率いるダン・ローブ氏はデュポンとの統合を決めた意思決定の過程などを巡って対立関係にあり、過去にローブ氏はリバリス氏の早期退任を要求していた。今回のリバリス氏の引退時期の延期は、アクティビストとの新たな火種となる可能性がある。
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