トヨタ自動車は18日、石川・愛知両県の農業生産法人9社と、石川県との間で、農業分野で提携すると発表した。農業法人がトヨタの開発した農業管理のIT(情報技術)ツール「豊作計画」を導入。各法人の課題解決に役立てるとともに、蓄積したビッグデータを各法人に提供し、全体の生産効率改善に役立てる。石川県は生産管理手法などを習得する。
「豊作計画」は日々の農作業工程や進捗を作業員のスマートフォン(スマホ)などに配信するITツール。作業員は配信された計画を基に作業を行い、実績を入力して日々の農作業をデータ化する。データを収集するとともに、これまで手書きで行っていた作業報告書の作成などの事務手続きが効率化できる。
トヨタは「豊作計画」のほかに、トヨタの工場の「カイゼン」ノウハウを生かした業務改善支援サービスも提供する。15年をメドに子会社を通じ「豊作計画」の外販を始める計画だ。
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、米生産農業法人向けの農業IT管理ツール「豊作計画」を開発し、愛知県と石川県の米生産農業法人9社に今月から提供を開始した。
トヨタは、自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、農業の生産性向上に貢献することを狙いに、2011年から、愛知県の米生産農業法人と共同で生産プロセスの改善を行ってきた。
「豊作計画」は、当地域において、複数の小規模農家や地主が大規模米生産農業法人に農作業を委託するモデルが拡大していることに着目し、農家や地主ごとに広範囲に分断して存在する水田を集約的に管理し、効率的な農作業を可能とするために開発。2012年より実施した2年間の試行の結果、作業工数・ミスの低減や資材費削減、経営管理レベルの向上などに大きな成果が認められた。
「豊作計画」はクラウドサービスとなっており、米生産農業法人はスマートフォンやタブレット端末から簡単に利用できる。システム中では、地図上に登録された多数の水田を複数の作業者が効率的に作業できるように、日ごとの作業計画が自動的に作成される。この作業計画は、現場へ向かう個々の作業者のスマートフォンに配信され、作業者はGPSで作業すべきエリアを確認してから向かう。そして作業の開始、終了時にスマートフォンのボタンを押すことで、共有のデータベースに情報が集まり、広域に分散する農作業の進捗の集中管理や、作業日報や請負先へのレポートの自動作成も可能となる。
また、農作業だけでなく、それ以降の乾燥、精米等のプロセスもカバーしており、稲品種、稲作エリア、肥料条件、天候、作業工数、乾燥条件等の作業データとそれから得られた収量、品質データを蓄積し分析することにより、より低コストで美味しい米づくりに活用できる。
なお、これらのシステムとサービスは、トヨタのIT事業子会社であるトヨタメディアサービス(株)(本社 : 愛知県名古屋市、代表取締役社長 : 友山茂樹)が販売する。
「豊作計画」は現在、米生産農業法人が主に取り扱う米、麦、大豆などに対応しているが、将来的には、技術革新を進め対応作物を広げることで、国内の農業の活性化や競争力強化に側面的に貢献したいと考えている。
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