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丸紅、バイオマス燃料輸入、10倍に、住商も5倍に、20年頃に需要がピーク2到達、

2017年09月17日 09時15分32秒 | thinklive

 丸紅は国内のバイオマス(生物資源)発電所向けに、燃料の輸入量を2021年3月期に17年3月期の10倍に増やす。シンガポールに販売会社をつくりベトナムから調達、インドネシアなどでも新たに調達先を探す。再生エネルギーの固定価格買い取り制度を追い風に、国内で20年ごろに新しいバイオマス発電所が一斉に稼働するため、燃料需…

商社や新電力がバイオマス発電の燃料で使う木質チップやヤシ殻の輸入を増やす。住友商事は2019年までに輸入量を現状の5倍に拡大。新電力大手イーレックスは自社調達に乗り出す。天候で発電量が左右される太陽光発電と異なり、安定電源とされるバイオマス発電は大型発電所の建設が急増している。燃料需要拡大を見据えて調達を急ぐ。

大型のバイオマス発電所を巡っては、政府が今年10月に電力の固定価格買い取り制度を改定、1キロワット時あたり24円から21円に引き下げる。価格引き下げ前に認可申請するバイオマス発電所が稼働ラッシュを迎える20年前後に、燃料の需要も急増するとみられている。

住友商事はチップなどの木質燃料をカナダやベトナムから年間約20万トン輸入している。19年までに同100万トンに拡大する。製紙会社向けに高品質な木質チップを長年輸入しており、その調達網を生かして製紙向けより低品質で済む発電用チップを海外で確保する。バイオマス発電所を抱える電力会社に販売する。

伊藤忠商事も木質燃料の輸入量を19年度までに現状の5倍となる年120万トンに引き上げる。パームヤシ殻(PKS)などを東南アジアで調達する。紙商社の国際紙パルプ商事(東京・中央)は東南アジアのPKS業者と協業し、今春からPKSの輸入販売を始める。国内の紙需要が減る中、バイオマス発電事業への参入が相次ぐ製紙会社向けに燃料を販売する。

燃料使用量の拡大に伴い自社調達に動く新電力も出てきた。イーレックスは現在、輸入燃料のほぼ全量を商社経由で購入しているが、一部を自社調達に切り替える。PKSなどの17年度の購入量を前年度比3倍の30万トンに増やし、そのうち2割程度を自社調達にする計画だ。現地のPKS業者と提携して燃料の安定確保につなげる。

現在のバイオマス発電は建設廃材などを燃料とする場合が多い。今後は輸入燃料を使った発電所が主力となる見通しで、大型施設の建設が相次いでいる。

天候に左右される太陽光や風力発電は稼働率が1~3割とされる。対するバイオマス発電は8割と高い。国はバイオマス発電を安定電源として拡大すると表明。30年の総出力を原子力発電所7基分に相当する728万キロワットと、14年の3倍に引き上げる計画だ。

王子ホールディングス三菱製紙は共同で青森県に出力7万5千キロワットの大型発電所を建設し19年に稼働させる。太平洋セメントとイーレックスも岩手県で同規模の発電所の建設を予定している。

現在のPKS輸入量は年70万トン程度とされるが、20年には3倍以上に膨らむとの見方がある。大手商社幹部は「燃料がうまく確保できずに計画倒れとなる発電所も出るかもしれない」と話す。


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