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ポスコのタイ、インドネシア製鉄所投資、東南ア市場の競争優位領域へ参入!

2014年11月15日 16時53分14秒 | thinklive

ポスコは史上最大の投資額である3兆ウォンを投入して海外最大規模の製鉄所をインドネシアに作ったが、稼働初期の今年初めに高炉に問題が生じて60日間停止していた。タイ法人も同じだ。ポスコは2011年、現地で唯一のステンレス会社タイノックスを買収したが3年間赤字が続いた。海外事業の構造調整という話が出るたびに議論されるほどだった。 
 そんな2つの法人が、ポスコの新たな期待の星として浮上している。解決法はこれだ。インドネシアは「売れるものを売ろう」、タイは「売っていなかったものを売ろう」戦略を使った。相反した戦略だったがいずれも著しく成功した。「みにくいアヒルの子」のようだった2つの法人の「攻め」と「防御」戦略を、現地で確かめた。 

  15日、インドネシアの首都ジャカルタからバスで1時間半余りかかった。到着した場所はジャカルタがあるジャワ島の西端の都市チレゴン。北側には太平洋を、南側にはインド洋を臨む小さな港町だ。ここにはポスコがインドネシア国営鉄鋼会社クラカタウスチールとの合弁(7:3比率)「東南アジア第1の製鉄所」がある。 

  08年2月、インドネシア政府はポスコと日本の新日鉄住金(旧・新日本製鉄)にそれぞれ「一貫製鉄所の合弁投資」の提案をした。新日鉄は断った。すでにインドネシア市場の主導権を握っており、海外の製鉄所建設にともなう資金と技術の負担を背負う理由がないということだった。ポスコは違った。インドネシア国民1人あたりの鉄消費量は61キロ。世界平均(238キロ)や中国(505キロ)、日本(516キロ)と比較すれば非常に低い水準だ。鉄鋼産業の発展段階だけで見れば「離陸期」程度で、ポスコはインドネシアの鉄鋼市場の成長可能性が高いとみて投資に入った。日本が占領した市場を攻撃するためには投資が必要だった。インドネシアに製鉄所を作ることになれば東南アジア一帯の国に販売する鉄鋼製品には無関税が適用され、価格競争力があった。ポスコはその年の10月に了解覚書(MOU)を結び、3兆ウォン(年間生産300万トン)に及ぶ大規模な投資に入った。 

 17日、タイのバンコクから東南に180キロ離れたラヨーン工業団地を訪れた。ポスコが2011年9月に買収したタイノックスがある所だ。ここでは自動車や電子製品、食器などに使われるステンレス鋼が作られる。オ・ヒョンス法人代表は「タイノックスの役割は、競争会社がタイ市場に入ってこられないよう防御するところにある」と説明した。タイのステンレス鋼市場は年間25万トン規模。このうち10万トンが自動車や家電に使われる。この市場でポスコが占める比重は約20%に過ぎなかった。日本企業が自動車・電子市場を掌握している上に、中国から低価格の鉄鋼製品が押し寄せた。オ法人代表が考え出したのは「高付加価値製品」だった。これまで手がけなかった自動車・電子機器用の高級製品をつくれば中国産の低価格製品に勝ち抜く勝算があった。タイノックスが現地唯一のステンレス冷延鋼鈑会社だという点を利用すれば、価格・運送・サービス面で競争力があると考えた。最近では日本の自動車メーカーに納品する製品を2つも認証申請した。この認証が通過すれば日本の自動車メーカーを対象にした本格的な販売が始まる。 

  買収後、初めて今年の上半期には110万ドル規模の黒字を出した。年間基準で黒字の可能性も高まった。目標も高めた。買収当時13万トンに過ぎなかった販売量を2016年までに22万トンに増やし、占有率を60%台に高めるというものだ。 



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