歴歩

歴歩 歴史は歩く。ゆっくりと歩く。それを追いかける。

糸島市・潤番田(うるうばんだ)遺跡 出土した陶枕は有力者が朝鮮半島と独自に貿易した証か

2010年09月07日 | Weblog
 9月7日の読売新聞(九州版)で、『糸島で高麗青磁の枕出土、有力者独自に貿易か』と記事が出ていた。高麗青磁の枕(「陶枕(とうちん)」については、既に7月に発表され、伊都国歴史博物館の夏季企画展(7月17日~9月5日)で公開されている。従って情報として新しいのは、「有力者が独自に貿易か」という点であろうか。

 今年3月14日に行われた「潤番田遺跡・潤古屋敷遺跡発掘調査」現地説明会時の資料が糸島市のホームページで公開されている。同じく、「いとしま文化財情報vol.3」(広報「いとしま」2010.5.15より)を併せて、その資料から見えるのは、
■ 潤番田遺跡・潤古屋敷遺跡は南北に隣り合う遺跡である。ともに、12~15世紀にかけて存続した「怡土庄」にあり、「潤」とは「怡土庄」の遺称地名である。
 この怡土庄には「地頭」が設置されている。潤古屋敷遺跡の東に隣接する東風小学校所在の字名は「潤地頭給」である。
■ 潤古屋敷遺跡は、弥生時代、平安時代(9-11世紀)、鎌倉~戦国時代(13~15世紀)の3時期を主とする遺跡である。
 昨年度に発見された大溝(幅5~6m、深さ約2m)内部には一辺約70mを超える方形の館(屋敷)があったと想定できる。(鎌倉時代(13世紀代)に形成され、戦国時代(15世紀代)に埋められた。)
 この時に、耳皿(箸置き?、9-10世紀)が出土しており、周辺に公的施設があったと推定されている。
■ 潤番田遺跡は、弥生時代および中世の遺跡である。
 昨年幅5m、長さ10m以上の大溝が見つかっている。また、井戸7基が見つかっており、土器や陶磁器、木製品が多数出土している。茶道で用いる風炉が出土しており、近くで茶の湯を嗜む人が居たことが分かるとしている。(風炉の材質や時期は触れられていない。)
 陶磁器は中国浙江省龍泉窯青磁を主体とし、白磁や高麗青磁が出土している。(壺や碗など)
 崇寧重宝(北宋1102年鋳造)当十銭や懸仏が出土している。
[参考:読売新聞、糸島市HP]

過去の関連ニュース・情報
 2010.7.13 糸島市・潤番田遺跡 14世紀の高麗青磁陶枕が出土
 2010.2.26 熊本市・二本木遺跡群 12世紀前半に副葬した初期高麗青磁碗が県内初出土

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彦根市・丁田遺跡 縄文中期の翡翠大珠が滋賀県内初出土

2010年09月07日 | Weblog
 市教委は6日、同市高宮町の丁田遺跡(ちょうだいせき)から縄文時代中期末頃(約4500年前)の装身具「翡翠大珠(ひすいたいしゅ)」が滋賀県内で初めて出土したと発表した。高さ32cmの深鉢の土器片の中から出土した。近畿地方でも京都府精華町の椋ノ木遺跡(むくのきいせき、10cm×4cm)と、奈良県天理市内にある二遺跡に続く4例目で、翡翠大珠の分布圏の東日本と近畿地方に交易があったことを裏付けるという。
 出土した翡翠大珠: 楕円形、長さ4・05cm、幅2・17cm、最大厚さ1・28cm、重さ20g。淡緑色。中央部に直径約4mmの開孔。
[参考:共同通信、京都新聞、中日新聞、毎日新聞、朝日新聞]


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