ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

中都会の片隅で活動する8~10人組コーラスグループ、ザ☆シュビドゥヴァーズの日常。
あと告知とか色々。

年齢の重ね方の3つのタイプ

2016-10-20 23:56:59 | ヨン様
こんばんは、ヨン様です。


「年を取ると、人間丸くなる」といいます。
年齢を重ねると、若い頃にハチャメチャだった人も段々と落ち着いてくる、という教えです。
本当にそうなのでしょうか。

確かに、自分の知人を見渡しても、多少当てはまりそうな人が何人かいます。
授業ボイコットをしていた人が真面目に授業を受けるようになったり、女遊びをしていた人が結婚したり、などなど。
私の年代はまだそれほど年の功を重ねているとは言えませんが、落ち着いたなと感じる人は何人もいるものです。

しかし、年齢を重ねると本当に落ち着いてくるものなのでしょうか。
実際のところ、そうはいえない側面もあるかと思います。

例えば、年を取るほど考えが凝り固まってどんどん頑固になっていくような人も、中にはいるのではないでしょうか。
あるいは、昔話ばかりして自分の武勇伝を語ったり、それを理由に若者を非難したりする人も、まったくいないということはないでしょう。
このような傾向が年齢とともに落ち着いてくるとは考えにくいので、「年を取ると、人間丸くなる」の反例ということになります。

つまり、年齢の重ね方には、少なくとも二つの方向性があることになります。
一つ目は、「年を取ると、人間丸くなる」という言葉に代表されるような、年齢とともに徐々に落ち着きを獲得していくようなタイプです。
このタイプでは、その人の過剰だった部分が段々と削ぎ落とされていき、最終的にはちょうどいい塩梅に近づいていくことになります。
もちろん、スタート地点の過剰さが過剰であるほどそのとがりっぷりは残り続けることになりますが、少なくとも年齢とともに軽減されていくことになります。
例えば、「NHKには絶対に出演しない!」とロックを気取っていたミュージシャンが、なんだかんだ言って年を重ねた後に出演する、というのはこのタイプに該当します。
もう一つは、年を取ることで、むしろ自分の考えに固執し、徐々に過激になっていくようなタイプです。
このタイプの場合、強くはなかったけれどもその人が一途に思い続けてきた考えが経年とともに肥大化し、結果として過剰になっていきます。
年齢とともに考えが過剰になっていくわけですから、加速度的に思想の先鋭化が進んだ場合には、最終的には壮絶な最期を遂げることにもなりかねないでしょう。
具体例をあげれば、作家として名声を得ながら最後にはクーデターを起こそうとして割腹自殺した三島由紀夫などが挙げられるでしょうか。

このように、年齢の重ね方には少なくとも二つの方向性があり、後者については「年を取ると、人間丸くなる」という一般論が当てはまらないのです。
中には年齢とともに視野狭窄となり、偏った主張を行ってしまうことのあるのです。

二つのタイプの年齢の重ね方(仮に前者を「熟成型」、後者を「発酵型」と呼びましょう)は、必ずしもどちらがいいとは判断しにくい関係にあります。
熟成型は段々と落ち着いてくるので、晩年には安泰に暮らせるかもしれませんが、多感な若い時期にたくさんの敵を作ることにもなりかねません。
一方発酵型は、若いうちは問題なく社会生活を送れるかもしれませんが、晩年になってから周囲との折り合いがつかなくなってしまうかもしれません。
どちらにも欠点はあるのです。

ところで、ほとんどの方は「自分は若い頃そこまでとがった性格じゃなかったし、これから偏った考えに目覚めていくこともなく、普通に老いていくだろう」と思われるかもしれません。
つまり、自分は熟成型でも発酵型でもない、と。
これは確かに一理あるかもしれません。
誰もがロックミュージシャンのように若い頃に冒険をするわけでもなければ、三島由紀夫のように凄惨な死を遂げることもないでしょう。
せいぜいナンパ男が所帯を持って身を固めるか、オッサン課長が飲み屋で若いもんに武勇伝を語って聞かせるのが関の山というものです。

すると、熟成型でも発酵型でもない、第三のタイプが存在することになります。
これを、「熟成」でも「発酵」でもないことから「腐敗型」(!)と名付けたいと思います。
腐敗型というと、ちょっとマイナスな印象かもしれません。
しかし、「熟成されるのでもなく、発酵されるのでもなく、中道を生き、土へと還る」というような、むしろ示唆的なイメージでとらえるべきなのではないかと思います。
生き方としては、中道の腐敗型が、一番安定しているのではないでしょうか。


さて、みなさんはどのタイプでしょうかね。
もちろん、ほとんどの場合は「熟成・発酵・腐敗」の三要素を併せ持っていることがほとんどでしょうが、熟成型にせよ、発酵型にせよ、腐敗型にせよよい年の取り方をしたいものですね。

それでは!