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元ワイドショープロデューサー仲築間 卓蔵(なかつくま・たくぞう)のブログ

知らなかった『ローマの休日』のこと

2004-12-12 18:27:28 | Weblog
映画監督の小林義明さんからの資料を読んで あらためてアメリカでの映画人弾圧におもいをいたしている。
『ローマの休日』は その脚本の上手さで何度観ても飽きない作品だが 脚本を書いたのはダルトン・トランボ。しかし トランボの名はクレジットにはない。
1947年 非米活動調査委員会は映画界から共産主義者とそのシンパの追放を強行する。委員会に協力(仲間の密告)しなければ映画界から追放され(実際にはほとんどがリベラル派に過ぎなかったようだが)投獄されるという過酷なものだったが これに屈せず証言を拒否した10人(ハリウッド・テン)の一人がダルトン・トランボだったのだ。
トランボは『栄光への脱出』という作品で復活するまで 変名で脚本を書いていたが その一本が『ローマの休日』だった。ロバート・リッチという名で書いた『黒い牡牛』という作品がアカデミー賞を受賞したことは語り草になっているようだが 日本未公開である。
『ローマの休日』50周年記念デジタル版には STORY OF DARUTON・TORANBOのクレジットが入っているという。ぜひ観たいものである。

いまのアメリカはどうなのか。
戦争に反対する俳優は 仕事を失う恐怖を感じているという。
アカデミー授賞式でピースサインをしたスーザン・サランドンは講演会をキャンセルされ 反戦デモに参加したマーティン・シーンのテレビドラマは消え去ろうとしているらしい。ケヴィン・スペイシー エド・ハリス ハリソン・フォード ジュリア・ロバーツなどが 反戦的な人物としてインターネットの保守系サイトに名前が並んでいるという。ブラック・リストである。
あの頃 変名でしか仕事はできなかった。トランボは「運のいい」人だったのかもしれない。レッド・パージで自殺に追い込まれた映画人も少なくなかったという。どれほどの才能が「復活」することなく消えていったか。その損失の大きさに愕然とせざるを得ないのに またもアメリカは 同じ過ちをくりかえそうとしている。

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