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「宮廷 花の交遊録」・まんがゼミナール「枕草子」その15

2021年07月29日 08時34分58秒 | 読書記

足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類等をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に 漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間には、十分楽しめそうで、御の字の書である。(以上 過去記事コピペ文)


「宮廷 花の交遊録」・まんがゼミナール「枕草子」その15

第82段 「頭の中将の、すずろなるそらごとを」
一条帝宮中きっての秀才、頭の中将藤原斎信が 清少納言の悪口を言い、何かと憎悪の素振りを見せているが、清少納言は強気で押し通している内、「蘭省花時錦帳下」という詩を送ってきて、この末の句をつけよと言ってきた。清少納言は 「草の庵を誰か尋ねむ」と付けて返したところ、そのうわさが宮中全体に広まって、いつしか斎信との仲も元のように良くなったという風雅な宮中生活の一こまが描かれている。

どうも、人に誤解されるのは おもろないことやネン。
その訳は 原文の方で読んでほしいワ。

斎信の使い「清少納言は おいでどすかーっ!」
「えらい派手な声やワー」
「何ぞ、ご用でっか?」
斎信の使い「清少納言とじかでのうては、お話でけまへん!」、「頭の中将殿が、この手紙、差し上げて、すぐご返事もろてこいと仰せでおます!」
清少納言「ワテに会うと顔をかくしはるほどきろうてるお方が、どないな分けで?」
清少納言「それほど大事な文でもおまへんやろ。おーきに。あとでご返事いたしますよって・・・。」
斎信の使い「あーい!」、タッタッタッタッ・・・・・、
斎信の使い「すぐに返事でけんのやったら、先程の手紙、返してもろてこいと言わはりによって・・・。ご返事、はよう、はよう」
清少納言「おや、まあ、青い薄様の鳥の子紙に、筆跡もうるわしく・・・・」、
蘭省花時錦帳下、末はいかに、末はいかに
清少納言「せやけど、何やこれ?」、「どないしたものやろ。知ったかぶりで下の句を下手な漢字で書き送るのも見苦しおすが・・・」
斎信の使い「はよう、はよう、書いておくれやす」
ごきぶりみたいにせわしない方やね。
頭の中将の詩文は 「白氏文集」を引用し、「中宮様のおそばで、皆と一緒で賑やかでよろしいな」といったほどの意味を掛けておます。
原文の下の句をちょいとひねって・・・。この消し炭でさらさらと!
「草の庵をたれかたづねむ」
斎信の使い「あーっ!、何やねん、そのインスタントなやり方は・・・」
清少納言「これが、風流ゆうものでおます」
タッタッタッタッ・・・・・・、
と、それっきり、ご返事もあらしまへんどしたが、次の日、局に下がって休んでおりましら・・・。
源中将「ここに「草の庵」は おらへんか?」
清少納言「まっ!、ゆうべのワテの返しの句をそのまま呼び名にしてからに」、「そないなウサギ小屋みたいな名のもんは おらへんエ。「玉の台(たまのうてな)」みたいに呼ばはるんやったら、返事でけますやろに」
源中将「やあー、よかったで、いるやない」、「草の庵」にまつわるゆうべのゴシップ等聞かせたろ思いましてな・・・」
清少納言「おーきに、源中将はん、聞きたいわねん」
源中将「頭の中将の宿直所に高級貴族ばかり、ようけ集まり、古今人物評をしてましたんや、」
清少納言「どうせ、女性達の品定めでおますやろ!」
源中将「頭の中将が言うには、清少納言ゆう女子とは、このまま絶交するのも惜しいと思うのやが、何も感じてへん、知らんふりの顔がしゃくにさわるんや。今宵こそは、絶交か、前のように付き合うか、決めるつもりなんや・・・。」
清少納言「そないな分けで あの文の返事を急がれはったんやね!」
源中将「そうゆうことや」、「斎信の使いが戻ってきた時、頭の中将は「何?、草の庵・・やて!、うーん、この女、たいしたくせものやで、絶交するには惜しいなあー。源中将、上の句を付けて、彼女に贈ろうやないの」と言ったが 返しの句を付けることでけへんでお開きになり、付けることが出来たのは そなたのニックネーム「草の庵」や。以上、お知らせまで、バイなら」
清少納言「あーあ、ほめられたのやら、けなされたのやら・・・」
中宮様が、お呼びでおます。
中宮定子「そなた、ちょいとしたうわさの真相やないの」
清少納言「あっ!、ニュースはもうここまで・・」
中宮定子「天皇様は お笑いになって、ワテにもお話にならはったの・・」、「殿上人達は、皆はん、「草の庵」と扇に書いて持ってるともおっしゃってはったわ」
清少納言「まあ、恥ずかしいことでおます」
このことが有ってから、頭の中将は ワテを見直されはったようでおます。出会ったりすると、
頭の中将「ハーイ!、「草の庵」ちゃ~ん!」


原文だよーん

頭の中将(とうのちゅうじょう)の、すずろなるそらごとを聞きて、いみじう言ひ落とし、「なにしに人とほめけむ」など、殿上にていみじうなむ宣ふ(のたまう)と聞くにも、恥づかしけれど、まことならばこそあらめ、おのづから聞き直し給ひてむと、笑ひてあるに、黒戸の前などわたるにも、声などする折は、袖をふたぎて、つゆ見おこせず、いみじう憎み給へば、ともかうも言はず、見も入れで過ぐすに・・・・・(後略)


(注釈)

頭の中将藤原斎信様が、いい加減な私に関するうわさ話を聞いて、ひどく私のことをけなし、「どうして、今まで立派なやつだと褒めたのだろうか」等と 殿上の間でひどく私の悪口を言っておられることを聞くにつけても、恥ずかしいが、そのうわさが真実のことならばともかく、うそなのだから、自然と思い直して下さるだろうと、笑ってそのままにしていると、頭の中将様は 黒戸の前等を通る時にも、私の声等がする時は、袖で顔を隠して、少しもこちらを見ようともせず、ひどく憎しみなさるので、私もああだこうだ言わず、気にしないで過ごしている内に・・・(後略)、


 


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