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畠山健二著 「本所おけら長屋」(十一)

2020年02月26日 08時32分23秒 | 読書記

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(十一) (PHP文芸文庫)を 読み終えた。「本所おけら長屋シリーズ」第11弾の作品である。
本書には 「こまいぬ」、「といちて」、「ぬけがら」、「えんがわ」、「らくがき」の連作短編5篇が収録されている。
各篇共 まるで江戸落語さながら 抱腹絶倒、感涙の涙、テンポの良さも有り、一気に読み通せる。笑いが・・、涙が・・、堪え切れず・・・・、周囲に人がいない場所で読んだ方が良さそうな気がする。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(十一)

その壱 「こまいぬ」
本所松井町にある「三祐」は おけら長屋の貧乏住人達御用達の酒場、情報交換の場になっている。呑んでいる松吉八五郎の席に入り込んだのは亀沢町の指物師克蔵、石原町の弁天社の狛犬の話を持ち掛けられる。10両を手に入れたいがために奔走する松吉、狛犬は完成、石工の石寛、娘お澄、弟子の吉五郎は元の鞘に収まり、めでたし、めでたし・・だったのだが。笑わせながら泣かせる・・・人情話。

その弐 「といちて」
南町奉行所の同心から十手を預かる岡っ引き(御用聞き・目明し・小者)仁九郎は 情けに厚く、弱い者の味方、粋で鯔背で 姿形が良く、神田界隈では庶民に慕われている。その仁九郎の住んでいる初音長屋にやってきていきなり「あっしを子分にしてくだせい」と土間に手をついた男は 元おけら長屋住人、久右衛門町の草履屋飯田屋の倅弥太郎。断られ、勝手に 十一手?を作って、「へい、おやびん」の鶴吉を連れて、岡っ引き気取り。貸本問屋樋口堂の器量良しの娘お舞に 番頭銀兵衛と手代善吉の金横領事件の相談を持ち掛けられてしまい・・・、
おけら長屋の万蔵松吉島田鉄斎、仁九郎の出番となる。その気になって突っ走る弥太郎の挙句の果ては・・・まるで寅さんのごとくのおちがつく。

その参 「ぬけがら」
おけら長屋の住人達の御用達酒場「三裕」。万造松吉が「尋ね猫」の貼り紙のことで店の女中お栄と言い合っているところに、ひょこっと顔を出したのはお染、話題は次第に、誰と誰が良い仲か?。会えば言いたい放題の松吉お栄?、万造と聖庵堂の女医者お満?、
お染、万造に「お満さんみたいな跳ねっ返りが真面目な男と釣り合うわけがないからね」「だれが跳ねっ返りですって?」・・、お満が現れ、お染の隣に座る。「べ、べつに・・・」、八五郎が加わり、島田鉄斎も入ってきて、話が盛り上がる。おけら長屋の独身者は、魚辰、金太・・・。大屋の徳兵衛の後添えには煮売り屋のおけいばあさん?、相模屋の隠居の後添えには海苔屋の婆さん、「まだ生きてるよ」、「た、助けてくれ、ぎゃははははは、は、腹が痛えー、ぎゃはははは・・・」、大爆笑。島田鉄斎には お染さん?、鉄斎は酒に咽て咳き込む。
わけ有りでおけら長屋に住み 粋で、情け深く、懐深くしっかり者、住人達から一目置かれ、頼りにされるお染、大人の色気有り絵になる女お染は、大家の徳兵衛や浪人島田鉄斎しか知らない過去を持つ。この篇では これまで謎に包まれていたお染(本名お峯)の波乱万丈のつらい過去を描いている。
お満「お染さんみたいな女になりたいなあ。じっくり話を聞いてみたいなあ・・」、お染「話すことなんか何もないさ・・・」

その四 「えんがわ」
おけら長屋住人左官屋の八五郎の師匠文蔵親方絡みの物語。文蔵親方と亡き連れ合いお末には一人娘お豊がいたが跡取りがいなかった。兄弟弟子の八五郎為三郎が お豊をめぐる行き違いで独立してしまい、文蔵は甥の文七を養子にし跡取りとし、その文七と所帯を持ったのが八五郎、お里の娘お糸。縁側に座り、目に見えて老けた文蔵が 八五郎に人探しを頼み込む。20年も前に姿を消したお小夜という女。
万造松吉の奔走で 住まいが見つかり八五郎が出向くが・・・珍騒動の末。
捨て子多吉を預かる羽目になってしまい・・・。珍しく 1話完結とはならず 次篇に続く。

その五 「らくがき」
ことの顛末に万造松吉は呆れ返るが そこは人情に厚く、お節介焼きのおけら長屋の住民達、八五郎が預かった多吉の心を開かせていく。突然、緑町一丁目の旗本榊山主計頭徳重の生家の屋敷の壁が、見事な龍の落書きをされ 下手人を捜索していると聞いて、多吉?、八五郎は青くなる。下手すれば 御手討ち。向こう見ずの八五郎が・・・・。島田鉄斎が人肌脱ぎ 多吉の運命も変わるが 文蔵親方から頼み込まれた人探しの話、お小夜の話は 持ち越しとなる。松吉「お小夜さんを見つけたら酒を呑ませて、女郎屋に連れて行くって・・・」、万造「すっかり 忘れるとこだったぜ・・」、八五郎の顔が引きつる。鉄斎は そんな三人を眺めながら美味そうに酒を呑んでいる。


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