今日の当地 風が やや強いものの 5月並みの温かさとなりました。
車で 往復約3時間、久し振りに 母親が入所している 神奈川県内の介護施設を 訪ねてきました。
午後1時 いつものように ユニットのリビングルームのテーブルで 車椅子のまま テレビを見ていた母親、
突然の来訪者に 一瞬 怪訝そうな表情を見せますが 息子夫婦であることが 分かると ニコッと 微笑みます。
前回訪問時と比べて さほど 大きく変わった様子もなく ひとまず安堵。
「こんにちは」と言えば 「こんにちは」と 返ってきます。
一見 しっかりしているように 思えてしまいます。
毎度のこと 妻は 私を指して 「この人 だーれ?」と 問い掛けます。
「わかるよ・・・」と 言いますが とっさに 息子の名前が出てきません。
限られた時間に 出来るだけ 心を通わせたいとの思いから 田舎で親しかった知人や親戚のこと、昔のこと等、いろいろ話を持ちかけますが 頷くだけだったり 「わかんない・・・」「知らない・・」「忘れた・・・」。
数年前までは それでも 1つ、2つ、3つの記憶が 点いたり消えたり 同じ話を 何回も何回も繰り返され 逆に 閉口させられた程でしたが 最近は それも無くなってきており ほとんど 会話は 噛み合いません。
ヘルパーの方から 「今日は 温かいので 屋上に行ってみたら どうでしょう」と促され 屋上に 連れ出しました。
確かに 気持ち良い青空でしたが 温かいとは言っても 風が強い分 長居は出来ません。
リビングルームのテーブルに戻り 今度は 母親お気に入りの古いアルバムを 取り出し ページを捲りながら 話し掛けします。
母親の少女時代から青春時代、結婚出産した頃の写真が貼り付けられたアルバムです。
すでに 形も崩れ ボロボロ、バラバラになっている類ですが 今の母親にとっては 宝物と言っても過言ではなく 1枚1枚、指しながら 嬉しそうに ページを捲ります。
毎度のこと 別れ際には 握手を交わしますが 大正、昭和、平成を生きてきた手は 今回も まだまだ しっかりしていて 温もりを感じます。
「また来るね」と言えば 「気をつけてね」と 返ってきます。その表情、眼差しは かっての母親のまんまです。
遠くの世界に行ってしまったと感じる母親と 時折 生気を感じる母親が 有ります。
今回もまた 子供として 母親に対して 今出来ることは この程度なのか、無力感に襲われながら 帰路につきました。