草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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 思考の端緒

2009年06月23日 00時22分19秒 | 
 前回は適正問題のこれからの主流になると思われる問題についての解説をした。問題を一見すると, あまりにも情報が錯雑としすぎていてまずどこから思考の端緒を見つけたらいいのか迷うばかりである。やみくもに書きこんでいって, 偶然性と力づくで解くというようなことになりかねない。
 それにしても 「何を求めているのか」という問いの意味はきちんと理解しなければなるまい。まず問われていることを正確に理解することであろう。試験というのは, 「問われていること」に「答える」のであるから至極当然のことである。しかし, 多くの子どもたちが何が問われているかさえわからずにあるいは曖昧なままに答えようとしていることに驚かされる。
 問いの意味もわからないのに自分の主観で問いを決めつけて答えようとする。対策というが, 要は問題の意味を正確に理解することが正解に到達する最良の方法なのである。
 問題文の意味取りに全力をかけることで勝負は決まる。問題をほとんど読まないで, あるいは雑に読んで, いきなり答えを書こうとするからできないのだ。問題文は3回以上は読み, 意味不明なら何度も読み返し, 「問い」の意味するところがわかるまで読む。
 「問いに答える」ということは試験の憲法である。これに違反したらその時点でアウトである。聞いてもいないことを長々と書いても0点なのだ。何が「問われているのか」ということを常に念頭に置きその「問われている」ことに答えることばかりに意を注がなければならない。
 思考の端緒(たんちょ)は, まず最小単位から考える。まず単純な1つを求めることを考える。なぜか。適性に限らないが, 問題というものは, 結局「規則性」に気がついていますか, ということを尋ねているのである。「資料を読ませて気がついたことを書け」という問題が適正では常連であるが, これなども「何か規則性はありますか」と聞いているのである。何か「意味あること」がありますかと言ってもいい。意味につながりのないことを思いつくままに書いても答えたことにはならない。問題を解くとは, 規則性を発見することと同値である。規則性の発見はなかなか難しい。しかし, 規則性の発見はまず1つのことを考える。さらに2つ目を考える。それでも規則性らしきものが見つからなければさらに3つ目を考えるという手探りで見つけていく。その際に「論理的にありえない」ことは消去する。視点を変えていろいろと見方を試してみる。全体から眺めてみる。思考の端緒とはおよそこのようなものであろう。算数であれば, 定義を正確に思いだしてみる。たいてい定義から答えが出る。平行四辺形の面積の公式も言えないで, 円の面積や円周を出す方法も言えないで問題から意味あるものを読み取ろうとすること自体ありえないことなのである。ここでは「意味あるもの」といったが, 規則性ということをより一般化すればそういう表現になる。数学にしても算数にしても問題文から何か意味あるものを読み取るということにつきる。
 算数でもまず「単位当たり量」を求めるということが最初の1歩であろう。そこから思考が広がっていく。思考の端緒とは最初の1つを考えることなのである。
 算数などはまずいろいろ思考をめぐらす。そのとき自分の知っている規則性をいちいち検証してみる。割合という意味あるしくみは普通に使えなければとても太刀打ちできない。扇形の面積の意味を知らなければだめなこともある。普段から使える規則を常備しておくのである。規則も知らないで解けるはずがない。

 問題の「意味」を理解せよ。それがすべてだ。

お知らせ

 竹の会の指導において実施した公立中高一貫校対策レジュメの中から難問と思われるものについて「中学入試に秘策あり」で取り上げ解説していく予定です。ご期待ください。




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