草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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基本の大切さ

2008年12月24日 10時01分27秒 | 
 受験というとどうしても高度な応用問題の練習に時間を費やす親子が多いのではないか。大手の問題集も難しい過去問を網羅したもので埋め尽くされているのだから無理もない。「こんな問題ができなかったらどうしょう」と不安を煽るから, ますます不安が募る。それで難しい問題ばかりを追うことになる。算数などは基本ができていなければ応用などできるはずもないので, 応用が解けるということは基本はあると考えていい。算数の場合の問題性はやはり応用が「わからない」のに応用ばかり追うという場合であろう。算数の場合は基本というのは, 知識ではなく思考力に置き換えた方がいいかもしれない。思考力が未熟なままに応用を追うのは無謀なことであるし, 無駄なことである。中学受験では理科や社会の存在が大きくのしかかる。確かにその知識は膨大である。基本という概念は, 理科や社会でその効用が甚大である。たとえば理科なら「基本」事項は40項目くらいに絞れる。その各項目の中からまた「基本」というものを絞っていく。慶応のようなところは置いておいて開成や武蔵などでは「考えさせる」問題が主流である。中堅校だと出題の8割は基本項目といっていい。基本項目を深く理解していることが最良の受験対策である。知らないことが出ても, 知っている基本項目から「推理」すれば解けるというのが実際なのである。応用というのはそこのところを指している。いたずらに難しい問題を応用というのではない。ここのところを勘違いしている人が多い。だれでも知っていなければならない基本項目から「推し量れば」解けるような出題が応用なのである。基本項目をストレートに尋ねるという問題ばかりでは選別できないということがある。かといって一般の受験生とかけ離れた難問を出しても数人くらいしか選別できない。選別の限界線というのがある。ここのところをクリアできるほどの生徒を選別するために問題を作るのである。してみれば受験の側としてもどこまで基本の理解を深めたかにかかっているわけである。先ごろ東大附属の推薦試験では「蒸発と沸騰」についてグループごとにディスカッションさせたそうである。「蒸発」という基本事項をどこまで深く理解しているか, 「沸騰」という基本事項をどこまで正確に理解しているかがテストされたわけである。こういうところは多くの受験生は「読み流して」なにやらがらみの問題ばかりを解いていることであろう。公立中高一貫校だって出題の内容は実は同じところに帰している。どこまで基本の概念を「正確に」「深く」理解しているかが問われているにすぎないのである。細かい知識の有無は問題にされていない。私はそのことに気がついて以来, 理科や社会の知識を覚えさせるだけの, ただ問題を解かせるだけの勉強ではだめだと思っているから, 今はひたすら教科書を読むことを声を大にして唱えている。基本を深く・正確にというコンセプトで私が解析したうえで, 執筆しているのが「教養」シリーズである。来年から本格的に指導の現場で試したいと意図している。加えて新しく出る「新小学問題集・受験バージョン」を使った家庭学習の指導にも踏み込んでいきたいと企画している。いずれにしても, 常に過去問を調べながら過去問の求めているところ, つまりは出題者の限界線上を探るという作業は毎日でもやらなければならない。多くの受験生や親たちが, 合格するために引く線は合格最低点であったり, かけ離れた高い線であったりする。私はプロの目からこの問題でたとえば志願者500人のうち何人を選別できるかという視点から問題の限界線をえぐりだしたいと考えている。
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