草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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ストレイ・シープ

2009年07月30日 08時41分34秒 | 
 確か漱石の「三四郎」に出てくることばだ。迷羊ということばにストレイ・シープとルビがふってある。中2に文型を学ばせてどれくらいが経ったか。ようやく一人だけわかってきたようだ。残りの生徒たちは未だに出鱈目な訳文を書く。なかには英文の頭から単語を日本語に換えてその日本語を都合よくつないでゆく生徒もいる。全く白紙という生徒もいる。フレーズの切り方が適当で滅茶苦茶な生徒もいる。副詞もわからず平気で名詞と書く生徒もいる。はては名詞を形容詞としたりでとにかく滅茶苦茶で何もわかっていない。「さて」と考え込む。そもそも英語というのは, 努力の継続が前提の科目である。毎日単語を覚える, 教科書の英文を暗誦するなどの努力を続けているであろうか。普段から家庭学習で英語の勉強をするスタイルを身につけていない生徒にはなかなか英語というものが身についてこないのではないか。相変わらず知らない単語ばかりで, 辞書を引いてもその引き方の勘所もわからない。適当に意味を見つけて拾う。意味が何個もある場合もきっと最初の意味を拾うのであろう。最近は私が品詞のことをやかましくいうので品詞だけは調べる生徒もいる。だが同じ言葉でも前置詞であったり副詞であったりする。こうなるともう迷いは尽きないのであろう。
 今日は中2に講義をする予定だ。辞書の引き方からレクチャーする。ある言葉を引いたときはまず品詞をチェックする。品詞が何個あっても, その言葉の文章の中の位置関係から
どの品詞かを推測する。意味を調べるときは, 文型の知識がないと意味を特定するのが困難である。研究社の新英和中辞典なら, たとえば動詞なら[S+V+補語]みたいなことが書いてある。それでまず英文の文型を読み取るのが先決である。そのうえでその文型から該当する意味を検索する。研究社のライトハウス英和辞典もなかなかいい。生徒たちが, 英文を見て何の文型かを判断できるようになること, これがこの夏の課題である。が, かといって中2の重要文法不定詞・比較・感嘆文・命令文・受動態を終わらせないわけにもいかない。しかし, 文型判定能力をつけなければ何も得ないのではないか。とにかく今の出鱈目な理解を解消しなければと焦るばかりである。
 文型の真意がなかなか伝わらないことに苛立ちを感じている。ふと我にかえってまた根気よく教えるしかないかと思いなおす。なにしろこれが伝われば, 英語のなんたるかをつかんだことであり, その後の進展はあまりにも大きい。そう思えばなんとしても伝えなければと思いを強くする。
 それにしても単語を覚える努力, 教科書の英文を暗誦する努力くらいはしてほしい。何もしないで何かを得ようとするのはあまりにも虫がよすぎる。高校のころ担任に「第○課を全部暗記してこい」と言われて, 徹夜でリーダーを何十回も読み, 物語をイメージしながら, 英文を思い出す練習をした。苦しかったができるまで繰り返した。そうしたら言えるようになっていた。英語の勉強というのはやはりこうした苦しみのともなった努力を継続していかなければものにはならないのではないか。普段家庭学習でろくに勉強もしないで, ただ教えられるだけで, 復習もしないというような勉強姿勢ではなかなか真の理解には達しないのではないか。何もしないで英語の極意が手にできるはずはない。
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