草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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難問は必ずしも益ならず

2009年07月29日 08時37分45秒 | 
 昨日は子どもたちにやや疲れが見えた。疲れるとなかなか勉強に集中できずやたら饒舌になったり, いきなり眠りの体勢に入ったりと勉強放棄の子も出てくる。そのために一括することもある。勉強は姿勢からである。姿勢を崩しては勉強の入り口にも入ったとはいえない。
 今日はとくに姿勢についてやかましくいわなければと思っている。さすがに, 中学生にはそういう子はいないようだ。長時間に疲れて多少姿勢を崩すのは致し方ない。しかし, いったん集中態勢に入ったらもはや背筋はピンと伸び一定の緊張姿勢を保たなければ勉強しているとは言い難い。昨日はとくにだらだらと寝そべったままに勉強しているとは見えない子を叱り飛ばすことになってしまったが, 子どもには勉強以外のことについては多少大目に見てもこと勉強に関しては一歩も妥協しないことを厳しく示さなければならないと思っている。
 夏の算数の指導は, いわゆる難問は避けている。それよりもごく基本的な問題でしかも何かひとひねりあり, 思考のあやを必要とするような問題にこだわっている。どんなテキストにも載っているようなワンパターン問題は絶対に使わない。思考に資するものがないからだ。それほど難しくはないのだが, それなりに思考の積み重ねが必要なものにこだわっている。しかも様々な問い口で一様でない多岐にわたる幅広い問題を入試過去問集から探すようにしている。どんな問題が出されても「考える」力で切り抜けてゆくという強い強靭な思考力を培ってゆきたいという思いが強い。算数に問題で新規の問題, 未知の問題が出されるともうだめというような弱い子はやはり試験本番ではまず合格しない。過去の合格者たちを思い返してみても, やはり強靭などんな問題にも耐えうる強さを持っていた。もちろんどんな問題といっても難問は無視していい。難問を解ける子なんかはそれこそ算数オリンピックや数学オリンピックでもやっておればいいのである。そんな特別の子なんかはどうでもいい。普通に受験する子には難問が解けることなんかはどうでもいい。基本的なそれなりに思考のあやを要する問題が解けることである。どこかで解いたことのある問題だから解けたというのではだめである。新規の未知の問題が出されたときに持ち前の思考力で粘り強く考えて解ける子が受かるということである。「どこかで解いたことがある」とか「過去に似た問題を解いたことがある」というような記憶で解く子は不合格の蓋然性が高い子である。
 私は今までに解いたこともないしかもそれほど難しいというのではなく, しかし解くためには基本的な思考の組合せを要するというような問題にこだわってレジュメを作成している。最近のネタ本は, 全国版の算数過去問集2007年版から2010年版だ。
 今までに見たこともない問題で自分の思考をたよりに解くしかない問題に対して, 子どもたちを鍛えてゆくことが試験に簡単にはこけない強靭な精神を作り上げてゆくと信じている。この私の試練に一人の小5が驚異的に快進撃している。がほとんどの子は出されるたびに30分以上たっても解決の糸口さえも見えない始末である。出されるとすぐ「こける」という弱さがあまりに明白でありすぎる。救いの手を差し伸べてなんとか正解にたどりつくというなんとももどかしく赤子の手をひくような感じである。弱さを露呈している。
 繰り返すが基本的問題である。ただし, それなりに思考を要する。思考を使わない問題など解いても仕方ない。未知の設定に思考だけをたよりに解き明かすこと, そういう訓練をしている。思考力のある子ならものの5分もあれば解ける程度の問題である。それを30分も60分もかけて糸口さえもわからないというお粗末な思考レベルでは海千山千の何が出るかわからない入試には歯が立つわけもない。備えるべきは何ものにも思考の力で解き明かす強靭な思考の力である。雑草のような強靭な生き残る精神力をこそもて。これこそが受験の最大の武器である。この夏は強靭な精神力をこそ鍛えぬきたいと決意している。それだから問題放棄や回避という弱い心は見逃さない。厳しく叱りつけるということもある。強靭な精神の持ち主になってもらいたい。  毎年1月に試験本番に送り出すときのあの気持ちがいつも私の中にはある。十分に力をつけてやったのか。あの恐ろしい本番の雰囲気に呑まれて問題の見た目に攪乱されて跳ね退けられてしまうのではないか。未知の問題に強靭な精神で負けないで乗り越えられるのか。簡単に敵の騙し手に乗せられてしまうのではないか。合格した者はみな強靭な精神の持ち主であった。敵の見た目だけの問題偽装に騙されずに思考で乗り切ってくれた。そういう思いからいつも私は厳しく叱咤激励しながら子どもたちを強靭に強靭にしたいと思い続けている。
 背筋を伸ばして考えろ。基本的なことの積み重ね思考で十分解ける。私は難問は嫌いだ。必ずしも思考の糧になるものでもない。それよりも基本思考を何重にも組み合わせた新規の未知の問題が好きだ。これほど思考を鍛えるに適した問題はない。基本的なハードルをクリアしていけるだけでいいのだ。
 
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