goo blog サービス終了のお知らせ 

草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
※2015年10月より竹の会公式HP内にブログ移転

東京大学附属中等教育学校のことなど

2009年12月11日 11時08分23秒 | 
 東大附属の人気がすごい。正直東大附属というと昔はそれほど人気はなかった。偏差値もかなり低かったし, まず学力検査がないので偏差値そのものが出にくいということもあったと思われる。最近は, 適性検査の模擬テストも一般的になり標準偏差を出すことも可能となっている。一般の学力検査とは同列にはできないので, それとは区別された偏差でなければ意味をなさないと思われるが, 大手の出版物などには東大附属の偏差値が出てたりする。
 まずこの学校は他の高校併設型中学と違って, 一般的にいうところの受験型の学校ではなかったことが人気が上がらなかった大きな理由であったと思われる。事実, 大学への進学実績には見るべきものがない。もちろん東大附属だからといって東大に優先入学できるものではないことは, 他の国立附属と同じである。
 東大附属の沿革を見てみると, 1948年に旧制東京高等学校尋常科を母体に新制中学, 翌年新制高校がスタートし, 中高一貫の形ができている。さらに翌年の1950年には, 東京大学教育学部が開設されて, 次の年「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となった。文部省より研究開発学校の委嘱を受けたのは1982年であった。2000年には, 中高一貫校として「東京大学教育学部附属中等教育学校」となった。このとき文部省より研究開発学校の委嘱も受け, 2003年には文科省より継続委嘱を受ける。2004年には国立大学法人「「東京大学教育学部附属中等教育学校」となって現在に至っている。
 竹の会には, 中高一貫になる2000年以前に, 東大附属に通う生徒がいたことはあったが, ほとんど知られていない学校であったという記憶がある。選抜方法の初手が抽選であったのは他の国立附属と似ていた。生徒は標準以上の知的レベルであったかと記憶している。
 どういうわけか竹の会からは, よく東大附属に合格する子がいた。普通の私立型や国立型のような選抜試験は行わず, 適性検査が実施されてきたが, 問題は長い間公開されていなかった。3年ほど前くらいから, ようやく声の教育社版で過去問が公表されることとなり, 長い間ベールにつつまれていた過去問の実際が明らかにされることとなった。
 2000年に竹の会から西原小の男子が1名合格した。ちょうど中等教育学校化された年だ。抽選によって選ばれた中から適性検査で選抜するという方式だ。確か抽選で定員の6倍までにするのではなかったかと記憶している。この当時の東大附属のレベルは, 私立高輪といったところよりかなり下ではなかったかと思う。
 2004年には, 富小の女子が合格した。この子は小6の4月に入会した子で, 12月まで別に受験をするということではなく, のんびりとしてきたのだが, 冬期直前に急に「東大附属に行きたい」と親に言いだした。それで冬期の始まる直前に母親から電話があり懇請されて引きうけることになった。いろいろいい材料はあった。その子は学校でもできる部類であったこと, 知能も標準以上と思料されたこと, 竹の会で思考のための訓練はしてきていたこと, そしてその子が漢字も書け読解力もそこそこに備わっていたこと, そして何にも増して類稀なる集中力を持ち合わせていたことがあった。竹の会の長時間コース1日8時間をほとんど無駄なことをせず勉強に集中していたのは特筆すべきことであった。合格発表の日, 届いたのは「落ちました。」という電話だった。それから何日かして, また電話があり, 「補欠で1番だったのですが, 1人辞退者が出て, 繰り上がり合格しました。」という喜びの電話が舞い込んだ。
 2006年の合格者は, 同じ富小の後輩となる女子であった。最初から東大附属志望で, 小5から竹の会に通った。やはり標準レベルの子であったと記憶している。標準レベルとは, ある程度なら割合の問題を解けるといったレベルである。この子もまじめでいわれたことをきちんきちんと実行する姿が印象として残っている。理科と社会の参考書をいわれたとおりにこつこつとノートにまとめている光景がいつまでも脳裏に残像化されている。合格の報に飛びあがらんばかりに喜び竹の会へ報告に来た姿が今でも目に浮かぶ。
 2007年の合格は, 双子の姉妹だった。小6の4月からこつこつとまじめに通ってきた。双子でも性格は正反対だった。私はなかなか姉妹の区別ができずに, よく間違った。全く同じ服装でやってくるので, いつも戸惑った。そのうちなんとか違いがわかるようになった。この年は双子の枠でも倍率が高く不合格を覚悟しての受験となった。ところが, 私のパソコンに「合格しました」という文字が受信されたのだ。メールは感謝の言葉に満ち溢れ, 私も胸が熱くなった。
 東大附属の情報はほとんどないに等しかったが, 竹の会では東大附属によく受かった。そして私の中には, どの程度の能力で合格できるのかといったものが, 自然と形成されていったように思う。確かな客観的なデータというものは何もないのだが, だいたいこんなものかなという程度のものである。そしてそういう仕上がりぐあいでいつも成功していたようなところがある。もともと私立の受験とは違い, 偏差値もないし, 科目の到達度で合否を判定できる状況もないのだから, 正直雲をつかむような話しであった。
 ところでここ2, 3年の東大附属の状況はそれまでとは違ったものである。それは都立公立中高一貫校がブームとなったことと無縁ではないと思われる。最近の検査問題は難しくなっていると思う。それは受験者の急増のもたらす当然の結果とも思える。2008年度の一般では, 男子6.6倍, 女子9.5倍, 2009年度では, 男子6.6倍, 女子8.2倍である。双子枠も平均5倍だ。
 2010年の推薦の応募状況は, 男子15名に対し251人, 女子15名に対し289人が応募している。男子15倍, 女子19倍だ。2009年は男子は19.5倍, 女子は22.7倍だったから, やや落ちてはいる。一般も, 2008年と2009年では, 女子が9.5倍から8.2倍へとやや落ちている。いずれにしてもかなりの高倍率であり, 人気は衰えない。
 都立中高一貫校の難化傾向, 公立中学への不信, 東大附属の掲げる教育理念と実際の自由な校風といったものが,複合的な動機づけとなっているのであろうか。

●後記
 今日は雨模様のようです。一端渋谷に出て所要を済ませながら教室の方へと歩いていこうかと思っています。このところ冬のレジュメ準備が滞り苦しい日が続いています。そういえば去年は冬期指導中は午前中にもレジュメを調整しながらの過酷な日々でした。土日に頑張るつもりですが, 何かと所要が多く万事休すです。ブログを書くのも大変なのですが, このところランクインして何か書かなければと強迫みたいな心境です。133万以上のブログ中の1万位以内にランクインすると順位が出るようなのです。それで最近ランクインしてびっくりしてこれはまじめに書かなければならないと気合いを入れたのはいいのですが, どうも力尽きそうです。
この記事についてブログを書く
« 中高一貫校は本当にいいこと... | トップ | 青山学院高等部と竹の会 »