草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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明日24日は3月最終日

2010年03月23日 11時10分10秒 | 
◎24日(水)で3月の全指導日程を終わります。

○指導の妙
指導というのは, 繊細なものである。割合の上達した子に与える問題は思案を要することではある。そして割合のイロハを学び始めた子たちにはまた一進一退のかけひきがある。とまどいを隠せない子どもたちの目や表情を瞬間に読み取る。女の子ならあまり追及できない。男の子でも性格による。自尊心の強い子だと強弱の攻め口がある。かける言葉もそういう場の雰囲気で違ってくる。緩急を使い分ける。割合がようやくわかりかけてきた子の指導も微妙に使い分ける。やや難しいかもしれない問題をわざと入れる。私の見切りではまず解けない。それで十分悩ませてから, 説明する。一見難解そうにみえる問題が実は自分の知っている割合の知識で理解できるのだということを知らしめる。こういう経験は1日1度でいい。それ以上やると今度は心が折れる。それで1日置いてまた新鮮な気持ちのときに次の問題を出す。竹の会の指導日が1日置いているというのは実はかなりに合理的であると思っている。
 ところで, こういう指導というのは, やはり3時間指導だとまず不可能である。3時間指導では伸びない。
 能力のすぐれた子と難問
 このところ手も足も出ないという問題を出している。
 実際, 本当に難しいのか, 何が難しいのか, 少し実例を紹介してみよう。
 3月22日レジュメ「算数2010」NO.34より
 2008年早稲田中学第2回3番

 ある会社では, 2004年の全社員40人の平均年齢は35才でした。2005年には5人, 2006には3人, 2007年には何人かが入社しました。また, 2005年, 2006年, 2007年ともに退職者はなく, 全社員の平均年齢は35才のまま変わりませんでした。
 (1) 2005年に入社した5人の年齢を順に並べると, 5つの連続した整数になりました。この5人の中で1番若い人は, 入社したとき何才でしたか。
 (2) 2006年に入社した3人のうち1人は18才で, 他の2人の年齢は同じでした。この2人は入社したとき何才でしたか。
 (3) 2007年の入社した人の平均年齢は23才でした。2007年に入社した人は何人でしたか。


 以上が問題です。
 この問題レジュメを現小5の一人に課したのですが, 30分経っても解答不能でした。
 私は実はまだこの問題を解いてはいませんでした。それで家に持って帰り実は今日の朝解いてみたわけです。
 よく算数は国語の読解の問題だと言う人がいますが, そう単純なものでもありません。国語の読解力がある子ほど, 算数の問題文の言いまわしには, あいまいさを残すようです。
 上記の問題だってそうです。「2005年, 2006年, 2007年ともに退職者はなく, 全社員の平均年齢は35才のまま変わりませんでした。」の部分はとりようによっては, 誤解します。誤解すればこの問題は解けません。この問題の意図が, 2005年時点でも平均35才, 2006年時点でも平均35才, 2007年時点でも平均35才の意味だと誤解なく問題文を読解できなければこの問題は解けません。
 私はこの問題は良問だと思うのです。というのは, この問題には「隠れた前提」が問われているからです。
 気がつかれ方もいるかと思いますが, この問題では, たとえば, 2005年について考える場合, すでにいた40人の社員は2005年には合計40年分年令が増えているということです。ですから, これを計算に入れて考えなければならない。ここのところに気がつくかが問われているわけです。気がつかなければこの問題は落とす。そしてこの問題が10人のうち4人が解ける問題なら, この問題を解けなかった子は落ちるということです。
 試験というのは, 簡単な原理です。だから私は問題レジュメを作成するときは, そのような問題の質のレベルをいつも念頭に置いています。もし10人のうち1人が解けるか解けないかくらいの問題だったら, 別に解けなくていい。そんな問題は捨てればいい。予め考えて準備しておく必要もない。要はそのような難問には手を出さないですむように感覚を養っておくことである。だから, 限界事例的な良問はたくさん練習しておく必要がある。それは捨てる問題を判別するためでもある。そして隠された前提に気がつかない自分の浅はかさを知らしめ, 何度も死ぬ思いをさせておくためでもある。死ぬ思いとはもちろんその前提にまるで気がつかない自分の浅はかさを知る思いであり, それはとりもなおさず試験に落ちたという思いである。

 それでは次の問題はどうであろうか。
 捨てる問題か, 良問か。
 2008年早稲田中学第2回4番
 A君とB君は1.5km離れている学校と公園を往復しました。A君とB君は同時に学校を出発しました。A君は行きと帰りを同じ速さで歩き, 公園で何分か休み, 学校を出発してから49分後に学校に戻りました。B君は公園で3分間休み, 行きの速さの2倍の速さで学校へ戻りました。途中, A君とB君は公園から100mの地点で出会い, 学校から200mの地点でB君はA君を追い越しました。
 (1) B君は学校を出発してから何分後に学校に戻りましたか。


 小問は(1)から(4)まであります。(1)が解ければ, 五月雨的に他の小問も解けるでしょう。
 難問ですね。情報が足りません。算数の問題で情報が足りないとか, シンプル過ぎるという場合は, たいてい比で解く問題です。さらには線分図を書いても関係式が出てこない。いやここで文字を使えば式らしいものは出てきそうです。知能の高い小学生はそういうこともやるようです。数学者で大道芸人のピーター・フランクルさんの問題集には方程式で解いたところがよく出てきますが, どうも違うと思うのです。確かに, 最近では算数の問題にも関数を扱う問題もままあり, そこでは文字で考えさせています。が, やはり算数は文字を使わないで解くところに, 図で解くところに醍醐味があると思います。そこが面白さだと思うのです。
 図をかくといいましたが, 面積図などは算数のすごいところですよね。そして今日のこの問題は, ダイヤグラムを使って視角的に解くというのが, 筋です。
 ダイヤグラムを使って解くパターンというのは, 良問かどうかはなかなか難しいところですが, 相似比を使って, このような舌足らずな問題を解き明かすというのも気持ちのいいことではあります。

△さらに記事を投稿予定です。
 
 
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