草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
※2015年10月より竹の会公式HP内にブログ移転

絶望と失望とたまに安堵

2009年07月23日 10時20分12秒 | 
 予想はしていたが, 適性過去問に手間取っている。3時間以上かけてはいるが, まだ慣れていないということもあるのか, それとも思考力がついていかないのか。いずれにしてもこの2週間の成り行きを静観するほかない。
 このところ「新小学思考の素」で, 算数の一般的・基本的な諸問題について, 思考の多様性・柔軟性・応用性を培うための指導を試みている。かなり手こずっているようすである。この程度の問題は平易で, 久我山クラスを合格可能な子には問題のうちには入らない。これまでにも再三述べてきたが, 公立中高一貫校の合否の実質的な戦いは, 私立中受験者の中でも久我山クラス以上の実力者との戦いになると思っていたほうがいい。算数の初歩的問題も解ける能力がないのに, 公立中受験をめざすのは無謀というしかない。
 算数は久我山レベル以上の実力を目指している。が, 現実はなかなか思うようにはいかない。少しでも目先を変えるともう解けない。思考停止したまま何十分でも過ぎてしまう。そもそも小学生の圧倒的多数が, 割合を理解していない。少しでもこみいったことを「考える」ことを「回避する」. 「先送り」する, 「逃げる」といった定型行動をとる。だからこそ, こういう小学生には長時間思考の中へ追い込む必要があるのだ。だが, 3時間の指導で何ができるか。1時間30分を算数の指導に使っても, 中には計算未熟なためそれだけで終わってしまう子だってかなりいる。ようやく計算4題を15分程度で終わらせるようになったとしても, そこからがまた頓挫の連続だ。以前は2時間指導だったが, これはまず時間的に不可能な設定だった。それで3時間に増やしてみたが, それでもだめだとわかった。中学生などでも家庭学習が限りなくゼロに近いと確実に成績は落ちる。パスポートと時間にして1回2時間, 回数にして3回の差なのだが, パスポートに属する子は悪くても現状維持, いい子は確実に実力をつけている。指導時間を十分に確保したからといって確実に伸びるわけではない。それは居眠りをしたりと集中してやらなかったり. 能力的な問題も関係してくるからだ。しかし, 能力があり, 居眠りなどしなくて集中するなら, やはりパスポートの子は文句なく成績がよくなっている。
 文型というのはこんなにも理解不能なことなのだろうか。車の運転を覚えるときに, ミスだらけなことは経験にあることだが, この夏休みでなんとかこなせるようになるのだろうか。
 算数の目先をちょっと変えただけですぐ思考停止してしまう小学生たちをみていると, 絶望したり, 失望したりの連続である。毎日, 思い直してまた取り組むという日常である。その中で「おや, わかってきたのかな」という答案に出会うとホッとする。文型の答案がほぼミスなく書かれているのを見ると, 心が初めて安らぐ。算数でも私を安堵させるような答案を書いてくれればいいのだが, なかなか現実は厳しい。出された答案に答えとなにやら図が書かれている。答えは正解だが, 図は意味不明だ。そこで「なぜこの答えが出たのか」と聞くと, 答えられない。じっと黙したままだ。おそらくは他の子に説明しているときに答えが聞こえたのであろう。私は「聞き耳頭巾」と呼んでいる。聞き耳頭巾は問い詰められればすぐ馬脚をあらわす。このような態度からは算数とまともに向き合っている姿は想定できない。できないことの焦りからそういう子も出てくる。
 絶望と失望とそしてたまに安堵。これが私のいつもの心のスケッチでるかもしれない。
この記事についてブログを書く
« 静かな夏指導初日 | トップ | まだ梅雨なのか? »