草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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公立中は過疎の村

2007年09月15日 21時02分14秒 | 
 ここ何年かで公立中学はほぼ完全にその質を落としてしまった。学校ピラミッドの底辺にその位置を定着した感がある。ここ数年の高校入試指導を通して生徒の質の低下を痛感してきた。都立青山レベルを受けるという生徒はまわりにほとんど見られなくなった。しかも都立青山レベルにしたところで大学進学実績は惨憺たるものだ。公立中から優秀な人材が集めにくくなったのだ。都立入試は長く学校群制度により受験できる学校が地域によって制限されていた。しかし, これほど大学入試の結果が悪いとそうも言っておれなくなった。今では学校群制度は廃止されてどこでも受けられる制度に変わった。これは, 公立中の生徒の質の低下がその背景としてあったのだ。既に中学入試というフィルターを通して私立中に優秀な人材の大半は流れてしまう。それでも経済的事情その他の事由で公立中に進むごく少数の残された優秀な人材はいた。しかし, それも公立中高一貫校の出現で事情が変わった。学費が安い上に, 大学入試にシフトを置いた指導体制が人気を呼んだ。適正検査という名の選抜試験があるから,自ずと生徒の質も高い水準で均一化される。そのため「いじめ」といったレベルの低い問題もない。それまで経済的事情で私立を考えなかった人たちはもちろん,
中堅私立中の志望者までが雪崩のように都立中高一貫に殺到した。今年はさらにその勢いは強まるばかりである。
 こうしてそれまで取り残された感のある少数の優秀な人材は公立中を見捨てて都立一貫へと一斉になだれこんだ。
 さてさてその結果, 公立中はどうなったか。あるいはどうなりつつあるか。まるで過疎の村のようである。勉強にほとんど関心のない子たち, 能力的に取り残された子たち, 中学入試の失敗組, 都立中高一貫失敗組などがしかたなく取り込まれる。失敗組にはやる気をなくしたという子も多い。総じて勉強しないということで共通している。学校の授業レベルは低く, 進度も恐ろしく遅い。絶対評価に変わり数学30点をとっても評価は3あるいは4ということもある。親たちは評価4になぜか安心する。公立中
に通わせる親たちの意識も低い。竹の会に面接にくる親も変わってきた。「塾に行く子はほとんどいない」と豪語する親もいた。中3の半ばあたりから塾を探す親もいる。すべてがのんびりしている。都立には質のいい生徒は集まらないのだ。東大にほとんど合格者を出さなくなった戸山や青山の現実がそれを物語っている。
 教室は荒れ授業が成立しない中学が多いと聞く。あるいはいじめが横行し, 問題化しているところも多いと聞く。環境の劣化が深刻だ。まじめに静かに勉強できる場でなくなった学校にどうすればいいのか悩む人も多いのではなかろうか。
 部活はこうした勉強に関心のない子たちのエネルギーを代替して吸収させる効果がある。しかし, 勉強にははっきりマイナスである。部活を絶対優先させて勉強もいうことはまずありえない。
 竹の会では, 最近はむしろ小学生が多い。特に都立一貫校志望者は私立中志望者よりも格段に熱心だ。合格したいという高いモチベーションから向学心は抜群である。小学生ではあるが, 公立中の生徒の向学心の低さを考えると, 驚異である。指導もしやすい。小学生ということもあり指導に不可欠の素直さがなによりもあるからだ。
 竹の会では中学はこれからは「やる気」のある「素直」な生徒にのみ入会を限るというシフトをとらざるをえなくなると思う。公立中に残されたごく少数の向学心と意識の高い子をのみ指導するというシフトをこれからはとらざるをえないということだ。公立中の現状を考えると最初から安易に入会させて指導に苦しむという愚はとりたくない。少数精鋭でいく。入会時の審査を厳格にしなければ。今年は中3は3名のみ。みな向学心は高く意識も高い。これなら上位校合格へもっていける。中学を少数精鋭に絞らざるを得ない反面, 都立中高一貫指導については素直な向学心の高い子どもを積極的に入会させて高い指導レベルを実現したいと思っている。だからそのような指導シフトをしきつつある。
 公立中の過疎村化ということでは、村の学習レベルが極端に低いというのに村人(親たち)がまるでそのことに気が付いていないということである。村の中で評価4や5をとってなにやら満足している。もちろん村にも1人や2人の優秀な生徒はいる。あるいは数人くらいならまじめな生徒もいる。しかし ,その他大勢はまず勉強に関心のない者ばかりである。ごく少数のできる子は塾に通い切磋琢磨する。そういう子たちが都立上位校へと抜けていく。少子化でその他大勢組も大半が底辺都立に吸収されるのが現状である。つまり総じてどんなにレベルが低いといいながらその大半は底辺の私立ないし都立に入学できる。都立そのもののレベル低下とはなったとしてもだ。もちろん勉強しないあるいはできない子たちを塾に通わせる親もいる。親の心配をよそに決して成績はよくならないのだが。
 公立中の過疎村化という現状が, 竹の会を変えていく。竹の会は向学心のあるところにのみその求心力のアンテナを指し示すであろう。
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