ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

名古屋の好カード

2002年11月18日 | その他
今月の24日、名古屋では松田ジムによる楽しみな興行がある。
メインは前回「疑惑の負傷判定」で決定戦に勝って新チャンピオンとなった、
東洋太平洋スーパー・フライ級王者、石原英康の初防衛戦。石原の汚名返上に
期待がかかるところだが、他にも興味深いカードがいくつかある。

まず松田ジムのホープの中では個人的に一番期待している菅原雅兼が、
東洋太平洋バンタム級王者ジェス・マーカとノンタイトルで戦う試合。
マーカは「日本人キラー」と呼ばれる老獪な技巧派で、これまでにも
何人もの日本人ホープが彼に翻弄され、完敗を喫している。ボクシング
ファンの間では、「バンタム級で世界に行くならマーカに勝ってから」
というのがここ何年かの決まり文句のようになっているほどだ。

菅原は今までマーカと対戦してきた日本人選手たちと違い、どちらかと
言うとパンチ力や勢いよりも、技術やスピードで勝負するタイプだ。
マーカ相手に技術戦を挑むのも無謀な気がするが、試合間隔が空きがちな
マーカの勘が鈍っていれば、前半にポイントを奪って判定勝ちする可能性も
ある。またこの際には、「名古屋判定」という不名誉な言われ方もする
地元有利の採点によって助けられる部分もあるかもしれない。

そして最も驚いたのが、小懸新と浅井勇登という、名古屋の実力者同士の
対戦だ。名古屋に限らず、有望選手の少ない地方都市においては、いい
選手が出てくると出来るだけ弱い相手と戦わせ、大事にキャリアを積ませる
傾向がある。だからこそ、このカードは異例中の異例と言っていいだろう。

日本、世界、東洋とことごとく挑戦に失敗し、やや見限られてきた感のある
「かつてのホープ(とは言え現在のランクは日本フライ級1位)」浅井と、
あの畑山隆則を育てた柳和龍トレーナーの愛弟子で、現在13戦無敗(1分)。
まさに新しい「名古屋のホープ」と呼ぶにふさわしい小懸(日本スーパー・
フライ級2位)。下馬評では勢いのある小懸が、浅井に引導を渡すだろう
という声が多いようだが、果たしてどうなるだろうか。