ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

亀田興毅vsカルロス・ボウチャン

2006年03月08日 | 国内試合(その他)
注目の亀田の「世界前哨戦」は、WBC世界フライ級13位の
カルロス・ボウチャンからボディブローの連打でダウンを奪い、
そのまま6ラウンドKO勝ち。予告した「5ラウンド以内」とは
行かなかったが、まずは危なげなく勝利を収めた。


しかしこの試合、あまり見るべきものはなかった。亀田は終始
力み返り、攻めが雑になっていた。力みのせいか、いつもに比べると
スピードもなく、いいタイミングでパンチを当ててはいるのだが、
キレに欠けるためにボウチャンが倒れる気配はない。

そこで亀田はボディに的を絞り、しつこいくらいの連打でボウチャンを
追い込んでいった。それが功を奏したのが6ラウンドだったわけだ。
とはいえそのボディ攻めも荒さが目立ち、ローブローも少なからず
混じっていた。最後にボウチャンが倒れたのもローブローだったような
気もするが、角度が悪く、よく見えなかったので断定は出来ない。

これといって危険なパンチも貰わず、結果的には「完勝」と言って
いいのかもしれないが、力づくで強引に終わらせたという印象を受け、
またローブロー気味のパンチでのKOでもあったために、やや
後味の悪さの残る試合であった。

思えば、今日の亀田は入場前からどこか緊張したような表情をしていた。
キャラクターに似合わず、実は割と冷静な彼にしては、珍しい光景だった。
「世界挑戦をアピールするためには、ここで下手な試合は出来ない」という
プレッシャーがあったのだろうか。おまけに両国国技館という大会場。
確かに、普通の選手なら硬くなるのが当たり前の状況だろう。


さて、今後の亀田はどうなるのだろうか。本来なら次はもう世界戦という
路線であったはずだが、WBA、WBCともにフライ級の世界王者の
動向が現在不透明なために、1階級下のライト・フライ級も視野に入れる
可能性も出てきたらしい。いずれにせよ、ここへ来て亀田の世界ロードに
ちょっとした紆余曲折がありそうだ。

ここはそういった状況を逆に利用し、世界戦までに1回ぐらい軽めの
試合を挟んでもいいのではないだろうか。デビュー当時はまるで歯応えの
ない相手とばかり戦ってきた亀田だが、ここ最近は注目度も相手のレベルも
上がり、何かとプレッシャーのかかる試合が多かったと思う。
ここでスタイルが乱れたまま「世界」に行くより、少し落ち着いて
自分のボクシングを整理した方がいいのではないだろうか。

コメントを投稿